塩竈(読み)シオガマ

デジタル大辞泉 「塩竈」の意味・読み・例文・類語

しお‐がま〔しほ‐〕【塩×竈/塩釜】

海水を煮て塩を作るかまど。また、その釜。
みじん粉に砂糖・塩などを加え、塩漬けにしたシソの葉の粉末を散らし、押し枠に入れて固めた干菓子。宮城県塩竈市付近で作りはじめた。
ゴマノハグサ科シオガマギク属の植物の総称。シオガマギク・ヨツバシオガマなど。
塩竈桜」の略。

しおがま【塩竈】[地名]

宮城県中央部、松島湾に面する市。漁業・水産加工業が盛ん。俗に「塩釜」とも書く。人口5.6万(2010)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「塩竈」の意味・わかりやすい解説

塩竈(市)
しおがま

宮城県中央部にある港湾都市。市名の表記は「塩釜」とも書く。仙台市の北東にあり、松島湾に面する。1941年(昭和16)市制施行。1950年浦戸(うらと)村を編入。市名は、古く塩をつくるための塩釜を祀(まつ)ったことに由来する。東部は松島湾域の一部を占め、桂(かつら)島、寒風沢(さぶさわ)島などの浦戸諸島があり、西部は海岸沿いを除いては丘陵性の地形をなす。松島湾の支湾塩釜湾奥に塩釜港がある。JRの東北本線仙石(せんせき)線、国道45号が通じる。塩竈神社は古代より多くの人々の尊崇を集めてきた。平安末期に平泉(ひらいずみ)の藤原忠衡(ただひら)(1167―1189)が寄進したという鉄灯籠(とうろう)が残されている。戦国時代にはすでに商業が発達していたらしく、近世に入ると仙台藩伊達(だて)氏が塩竈神社の社殿を造営し繁栄を図り、また城下町仙台の建設によりその外港としての機能が加わった。さらに17世紀末には4代藩主綱村(1659―1719)が、租税免除、仙台で消費する魚の陸揚げなどの特令による保護を行ったため、漁港や商港として繁栄した。松島湾内の寒風沢は風待ち港としてにぎわい、1857年(安政4)に仙台藩の洋式軍艦が建造された地としても知られる。鳴瀬(なるせ)川河口の野蒜(のびる)築港の失敗後、1885年(明治18)塩釜の築港工事が完成し、また、1887年には鉄道の塩釜線が開通して物資集散地となり、1929年(昭和4)には魚市場がつくられ、以後塩釜港は漁港として急速に発展した。1965年(昭和40)新魚市場が旧魚市場の対岸に完成した。塩釜港は2001年(平成13)特定重要港湾の指定を受け、港名を仙台塩釜港と変更した(2011年、港湾法改正により、特定重要港湾から国際拠点港湾に変更)。製造業のなかでは水産加工業がとくに発達し、なかでも水産練り製品の生産高は日本有数。また、ノリ、カキ、アサリの養殖も盛ん。塩竈神社、松島湾への観光客が多く、観光船の発着地となっている。面積17.37平方キロメートル、人口5万2203(2020)。

[後藤雄二]

〔東日本大震災〕2011年の東日本大震災では死者42人、住家全壊672棟・半壊3278棟の被害を受けた(消防庁災害対策本部「平成23年東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)について(第159報)」平成31年3月8日)。2017年には改装工事を終えた塩竈市魚市場が落成したが、2018年3月現在、防波堤・漁港物揚場(ものあげば)等の復旧など、さらなる復興に向けた事業に取り組んでいる。

[編集部 2019年10月18日]

『『塩竈市史』6巻(1955~1985・塩竈市)』


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百科事典マイペディア 「塩竈」の意味・わかりやすい解説

塩竈[市]【しおがま】

宮城県中部,松島湾南岸の市。1941年市制。塩竈(しおがま)神社の門前町として発達,東北本線,仙石線が通じる。全国有数の水産都市で,水揚高は下関,焼津(やいづ)に次ぐ。水産加工場と魚市場が多く,カキ・アサリ・アワビの養殖も行われる。1954年重要港湾,1964年新産業都市仙台湾地区として指定され,石炭,石油,木材,塩などの移輸出商港としても発展,工業港も建設された。特別名勝松島湾遊覧船の発着地で,8月の〈みなと祭〉でのみこし海上渡御は有名である。東日本大震災で,市内において被害が発生。17.37km2。5万6490人(2010)。

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日本の郷土料理がわかる辞典 「塩竈」の解説

しおがま【塩竈/塩釜】


和菓子の一種。みじん粉に砂糖・塩・しその粉末などを加えて練り、型に入れて押し固め、乾燥させたもの。◇元来は海水を煮詰めて塩を作るのに用いたかまどまたはかまをいった。製塩地として知られた陸奥(むつ)の塩釜(現宮城県塩竈市)あたりでこの菓子が作られたことからこの名があると伝わる。今日も塩竈の名物菓子であるが、一般にも普及している。

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普及版 字通 「塩竈」の読み・字形・画数・意味

【塩竈】えんそう

塩がま。

字通「塩」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の塩竈の言及

【塩釜[市]】より

…人口6万3566(1995)。市名は正式には塩竈の字を用いる。松島湾の南西部に面し,うちに塩釜湾(千賀浦)を抱く。…

※「塩竈」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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