見人(読み)みるひと

精選版 日本国語大辞典 「見人」の意味・読み・例文・類語

みる【見】 人(ひと)

① 物を見る人。ながめて鑑賞する人。
古今(905‐914)秋下・二九七「みる人もなくてちりぬる奥山のもみぢはよるの錦なりけり〈紀貫之〉」
② 小説類などの読者。
読本・南総里見八犬伝(1814‐42)二「これらも例の事なれは。看官(ミルヒト)察し給へかし」
③ (男性の立場から) 親しくしている女性。愛している女性。愛人として会っている女性。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「みる人のまねくなるらむ花すすきわが袖ぞとはいはぬ物から」
④ (女性の立場から) 夫として、世話をしてくれている人。面倒をみてくれている人。
蜻蛉(974頃)上「みる人も、いとあはれにわするまじきさまにのみかたらふめれど」
⑤ 女性の後見役をしている人。
源氏(1001‐14頃)帚木「みる人、おくれたる方をば言ひかくし、さてありぬべき方をばつくろひて」
⑥ 物の良否などを見分ける力のある人。目の利(き)く人。めきき。
※浮世草子・西鶴織留(1694)二「見る人に見せければ、是小蔓(こごつる)といふ唐織、世に稀と云」
⑦ 目にはいる人。映ずる人。
※杏の落ちる音(1913)〈高浜虚子〉一三「見る人も見る人も齷齪して働いてゐるのが何となく腹立たしかった」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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