触媒の表面積(読み)ショクバイノヒョウメンセキ

化学辞典 第2版 「触媒の表面積」の解説

触媒の表面積
ショクバイノヒョウメンセキ
surface area of catalyst

固体触媒による反応の速度は,表面状態が一定であれば表面積に比例する.このことは活性点の分布状態は別として,単位表面積当たりの活性点密度が一定であることを意味する.固体触媒の表面積は,通常,物理吸着を利用してBET吸着等温式から表面単分子層に相当する吸着分子数を求め,これに吸着分子の断面積を乗じて算出される.1 m2 g-1 以上の表面積をもつ触媒については-196 ℃ における窒素の吸着がもっともよく利用される.特別な場合には二酸化炭素や種々の炭化水素も用いられる.これ以下の小表面積については,気相に残る気体量を減じて測定精度を上げるため,飽和蒸気圧の低いクリプトン,キセノンなどの希ガスが使われる.担体上に分散させた金属触媒などの表面積を測定する場合には,担体にも吸着する物理吸着は利用できないので,触媒物質の露出面にのみ吸着する化学吸着種を選んで,その飽和吸着量を測定する.この目的には水素および一酸化炭素がしばしば利用され,とくに水素は,金属触媒の表面をいったん酸化したのち,これを還元するのに必要な量から表面積を求める,酸素水素滴定法に用いられる.また,トリチウム3H による吸着水素のオートラジオグラフィーは,吸着点の表面分布を見いだすのに用いられる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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