オートラジオグラフィー(その他表記)autoradiography

翻訳|autoradiography

改訂新版 世界大百科事典 「オートラジオグラフィー」の意味・わかりやすい解説

オートラジオグラフィー
autoradiography

α線やβ線などの荷電粒子には,写真乳剤感光・黒化させる作用がある。また,X線やγ線などの電磁波も二次電子を放出(電子放出)することにより同様の働きをもつ。この作用を利用して,試料表面に乳剤乾板を密着させて露出を行い,試料中に存在する放射性同位体の位置や量を記録し決定する方法をオートラジオグラフィーと呼ぶ。検出感度がきわめて高いこと,位置決定の精度がよいことなどが特徴である。記録の仕方によって,飛跡オートラジオグラフィー,マクロオートラジオグラフィー,ミクロオートラジオグラフィーの3種がある。

(1)飛跡オートラジオグラフィー 荷電粒子の種類によって写真乳剤中の銀原子の現像のされ方が異なることを利用する。たとえば,α粒子のように質量が大きく電離作用が強い粒子の場合,その進路に沿って1列に並んだ太い飛跡が観測されるが,質量の小さいβ粒子は乳剤中で散乱されてまばらな薄い飛跡となる。このような粒子線の飛跡を記録し,その形状から放射性同位体の分布や量を決定する。

(2)マクロオートラジオグラフィー 比較的大きな試料中の放射性同位体の分布を記録するもので,現像銀原子の黒化が肉眼で観測される。放射性同位体の位置は黒化した場所により,またその量は黒化度から決定する。サーベイオートラジオグラフィーともいう。たとえば,放射性同位体をトレーサーとした薬物を投与して動物の全身オートラジオグラフィーを行えば,薬物の体内における分布や特定臓器への集中の様子などを知ることができる。

(3)ミクロオートラジオグラフィー 生物組織の顕微鏡標本などの微小試料を対象とするもので,感光乳剤の黒化度は小さく,肉眼では認められないが,顕微鏡で観察することによって現像銀粒子を観測し,放射性同位体の存在位置と量を決定する。
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最新 地学事典 「オートラジオグラフィー」の解説

オートラジオグラフィー

autoradiography

放射能を含む試料を写真乳剤と接触させて露出し,試料中の放射性核種を測定する方法。試料中の放射性核種の分布が高い精度で測定される。α線などを乳剤中の飛跡として顕微鏡で観察し,α線源の種類・分布状態などを測定する場合と,β線・γ線などによる乳剤膜の黒化として観察する場合とがある。前者では原子核乳剤が用いられ,後者では感度の高いX線フィルムプロセスフィルム,乾板などが用いられる。β線・γ線の測定の場合は,偽写真効果・圧力効果・かぶりなどの放射能によらない黒化に注意する必要がある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オートラジオグラフィー」の意味・わかりやすい解説

オートラジオグラフィー
autoradiography

放射性同位元素を含む試料を,写真乳剤に適当な時間密着させてから現像すると,試料中の放射性同位元素の分布状態を示す写真が得られる。これをオートラジオグラフといい,この技術をオートラジオグラフィーという。放射性同位元素を含むペーパークロマトグラフィー薄層クロマトグラフィーの検出法としても応用される。通常原子核乾板の乳剤の厚さは数百 μm 以下のものを用い,放射性同位元素にはβ崩壊するものを使うことが多い。化学,工学,農学生物学,医学など多方面に応用されている。

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化学辞典 第2版 「オートラジオグラフィー」の解説

オートラジオグラフィー
オートラジオグラフィー
autoradiography

放射線写真法ともいう.放射性同位元素で生体成分を標識し,その組織分布や細胞内分布,さらには電気泳動分析のパターンなどをX線フィルムやイメージングプレートを用いて可視化する技術.X線フィルムを試料に密着,または乳剤そのものを試料に塗布する方法が主流であったが,最近ではより高感度かつ簡便なイメージングプレートが開発されつつある.イメージングプレートには,輝尽性蛍光体の微結晶が塗られている.

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栄養・生化学辞典 「オートラジオグラフィー」の解説

オートラジオグラフィー

 オートラジオグラフともいう.ラジオアイソトープで標識した生物材料や電気泳動後のゲルなどをフィルムに感光させ現像すること.生体内での同位元素の分布や標識された生体物質の性質を知るために行う.

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