言ひ掛かる(読み)イイカカル

デジタル大辞泉 「言ひ掛かる」の意味・読み・例文・類語

いい‐かか・る〔いひ‐〕【言ひ掛かる】

[動ラ四]
話しかける。言い寄る。
「いとねむごろに―・るを、いとむくつけく思ひて」〈玉鬘
《「いいがかる」とも》言い出したためにあとに引けなくなる。
「それがしも―・った事ぢゃによって、どうあっても連れて行かねばならぬ」〈虎寛狂・胸突
《「いいがかる」とも》無理なことを言って困らせる。難癖をつける。
「あそばして置きたる利銀をきっと面屋おもやからすまし給へと―・り」〈浮・胸算用・一〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「言ひ掛かる」の意味・読み・例文・類語

いい‐かか・るいひ‥【言掛】

  1. 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙
  2. 口に出して言い始める。
    1. [初出の実例]「法文云ひかかり給ひては、常に時の移るを忘れ給ふこと此の如くぞありける」(出典:栂尾明恵上人伝記(1232‐50頃)下)
  3. 人にものを言ってかかわりを持つ。言い寄る。
    1. [初出の実例]「うるさきたはぶれこといひかかり給ふを」(出典:源氏物語(1001‐14頃)玉鬘)
  4. ( 「いいがかる」とも ) いったん口に出したために、あとに引けなくなる。言い出して意地になる。
    1. [初出の実例]「そうじてあの人は、いひかかった事は聞ぬ人じゃによって」(出典:虎明本狂言・空腕(室町末‐近世初))
  5. ( 「いいがかる」とも ) むりなことを言って困らせる。なんくせをつける。言いがかりをつける。
    1. [初出の実例]「されども、いひかかりたる事なれば、ふるまひしかるべからず」(出典:曾我物語(南北朝頃)四)

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