許された危険(読み)ゆるされたきけん(英語表記)erlaubtes Risiko

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

社会的に有益あるいは不可欠な行為は,それが法益侵害の危険を伴うものであっても許容されるとする理論。その行為から実害が発生したとしても,結果回避につき相当な措置がとられていれば違法ではないとする。 20世紀前半,ドイツで主張された当時は鉱山労働,危険な工場操業,医療行為が対象とされたが,その後交通事故の際の過失責任を限定する理論として重要な役割を果した。許された危険の理論は新過失論 (→過失 ) の基礎となるもので,また信頼の原則もこの理論を具体化したものである。

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世界大百科事典内の許された危険の言及

【過失】より

…いわゆる旧過失論で,過失を行為者の責任の問題としてとらえる)。しかし,技術の発達とともに,人身に対する危険を不可避的に含んだ活動が大規模に行われるようになると(高速度交通,大工場経営など),危険な行為であっても,社会的に有用なものは許容されるべきだと考えられるようになった(許された危険)。また,交通事故の場合を中心として,相手方が適切に行動するだろうと信頼してよい状況下であれば,死傷などの結果が発生しても刑事責任を負わないとされるようになった(信頼の原則)。…

※「許された危険」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

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