許容帯(読み)きょようたい(その他表記)allowed band

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「許容帯」の意味・わかりやすい解説

許容帯
きょようたい
allowed band

量子力学により,結晶中の取りうるエネルギー準位帯構造をもち,電子が存在しうる帯域と存在しえない帯域とで構成されることが示される。この電子が存在しうるエネルギー帯域を許容帯という。電子が存在しえない帯域は禁制帯と呼ばれる。結晶内の電子はフェルミ分布に従って許容帯を占める。特に絶対零度では電子はエネルギーが最低の許容帯から順次満たすが,電子を含む最高の許容帯が電子によって,(1) 一部分だけ満たされている場合と,(2) 完全に満たされている場合がある。 (1) は金属の場合でこの許容帯を伝導帯という。 (2) は絶縁体または半導体の場合で,完全に満たされている許容帯は充満帯と呼ばれ,共有結合性の結晶では価電子帯とも呼ばれる。禁制帯をへだてた空の許容帯は,光や熱エネルギーによって励起された電子を含むことができ,この電子は金属の場合のように自由に動くことができる。したがってこの許容帯を伝導帯とも呼ぶ。

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