日本大百科全書(ニッポニカ) 「誘導化石」の意味・わかりやすい解説
誘導化石
ゆうどうかせき
地層中に含まれていた化石が侵食作用により洗い出され、より新しい時代の地層に再堆積(たいせき)したもの。二次化石ともいう。これに対し、古生物遺骸(いがい)がそれと同時代の堆積物中で化石化したものを一次化石といって、大部分の化石がこれに含まれる。誘導化石は産出がまれで、同じ地層中の一次化石より古い時代を示すため、化石の産出の状態や化石群を構成する種の生存期間を詳しく調べることによって識別できる。具体例としては、西南日本の中生界の大規模な海底地すべり層中に含まれる化石群の一部があげられ、古生代を示すフズリナ(紡錘虫)やコノドントが誘導化石として中生代の放散虫化石などと同じ地層から産する例がある。
[棚部一成]