中生代
ちゅうせいだい
Mesozoic era
地質時代区分で、現在から数えて二番目の代。古生代と新生代の間の約2億5217万年から約6600万年までの約1億8617万年に相当する。イギリスの地質学者J・フィリップスが1841年に命名した。この期間に形成された地層・岩石を中生界という。中生代(界)はさらに3分され、古いほうから三畳紀(系)、ジュラ紀(系)、白亜紀(系)となる。中生代の始まりと終わりは、動物界におこった大きな変革で定義されるが、これらは広範な陸化がおこった時期とも一致している。古生代末には三葉虫、四放サンゴ、紡錘虫など多くの動物群が絶滅し、腕足類、ウミユリなども大きく衰退した。中生代にはアンモナイト、ベレムナイト(矢石、箭石(やいし))、巨大な爬虫類(はちゅうるい)(恐竜など)が大発展を遂げるが、これらも中生代末には絶滅して、現在に近い新生代の動物と交代する。この白亜紀と次の古第三紀の境界(K-T境界。英語の白亜紀の頭文字Cがカンブリア紀、石炭紀の頭文字Cと重なるため、ドイツ語で白亜紀を意味するKreideの頭文字Kと、英語で第三紀を意味するTertiaryの頭文字Tと組み合わせた呼称。古第三紀の英語Paleogeneの頭文字Pと組み合わせてK-P境界ともいう)の大量絶滅の原因については、現在ではメキシコのユカタン半島への大隕石(いんせき)の衝突による全球的地球表層環境の激変に帰せられている。植物界の大変革は動物界に先駆けておこっている。中生代は全体として裸子植物が繁栄した時代であったが、白亜紀後半はすでに被子植物の時代に入る。中生代は、古生代末に成立した超大陸パンゲアが次々に分裂、移動を始めた時代であった。ヨーロッパや大西洋両岸の地域は比較的静穏であったが、環太平洋地域ではプレートにのって運ばれた陸塊が周辺の大陸地殻に衝突、付加し、これに関連して激しい地殻変動や火成活動、変成作用が生じた。有用な鉱床の形成もこの時代に多い。
[速水 格・小澤智生 2015年8月19日]
『市川浩一郎他著『改訂新版地史学 下巻』(1967・朝倉書店)』▽『木村敏雄・速水格・吉田鎮男著『日本の地質』(1993・東京大学出版会)』▽『ドゥーガル・ディクソン著、小畠郁生監訳『生命と地球の進化アトラスⅡ デボン紀から白亜紀』(2003・朝倉書店)』
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
中生代【ちゅうせいだい】
古生代と新生代の間の地質時代名。2億4500万年前から6500万年前まで。六放サンゴ,二枚貝,アンモナイト,矢石,硬骨魚類,両生類,爬虫類(恐竜)などが栄えた。植物では裸子植物が全盛。哺乳類,鳥類,被子植物などが出現。古生代に栄えた三葉虫,ウミリンゴ,鱗木や蘆木(ろぼく)などの古いシダ類は絶滅し,腕足類,オウムガイ,ウミユリなどは衰えた。古い方から三畳紀,ジュラ紀,白亜紀に3分する。末期にアルプス造山運動が始まる。気候帯が次第にはっきりしてきて,中生代末に確定する。全体として地殻の変動はおだやかな時代だといわれているが,大陸縁辺部では激しい地殻変動が起こった時代で,古生代唯一の大陸パンゲアが分裂し,大洋中央海嶺から広がって海溝下に沈み込む海洋プレートに乗って各大陸が移動し始めた。
→関連項目キカデオイデア|恐竜|魚竜|トリゴニア|翼竜
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
ちゅうせい‐だい【中生代】
〘名〙 地質時代の一区分。古生代と新生代の間の時代で三畳・ジュラ・白亜の各紀に分ける。動物では巨大な恐龍・魚龍などの爬虫類をはじめ、軟骨魚、硬骨魚、アンモナイトなど、また、植物ではソテツ、シダ、マツなどの裸子植物が繁栄した。この時代から新生代にかけてアルプス造山運動が起こり、アルプス、ヒマラヤなどの大山脈が形成された。〔英和和英地学字彙(1914)〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「中生代」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
ちゅうせいだい【中生代 Mesozoic era】
地質時代の一区分で,化石に残りやすい生物が出現した以降の顕生累代を三分した第2の地質時代をいう。放射性同位体による絶対年代の推定では,約2億4800万年前から約6500万年前までの約1億8300万年の期間に相当する。これよりも古い古生代Paleozoic era,これよりも新しい新生代Cenozoic eraとの境界はそれぞれ動物界に起こった大きな変革によって引かれる。すなわち,古生代末には三葉虫,四射サンゴ,フズリナなどが絶滅し,その他の海生の動物分類群も大きな打撃を受けて内容が一新している。
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
世界大百科事典内の中生代の言及
【気候変化】より
…地質時代,歴史時代,観測時代を通じて,これまで明らかになっている気候変化の事実を要約すると次の通りである。(1)古生代,中生代 古生代より前,すなわち先カンブリア時代(約38億~5.9億年前)における気候はほとんどわかっていない。古生代の大半の期間は両極地方には氷がなく,今日より温暖であった。…
※「中生代」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報