日本大百科全書(ニッポニカ) 「読書バリアフリー法」の意味・わかりやすい解説
読書バリアフリー法
どくしょばりあふりーほう
「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」(令和1年法律第49号)の略称。2019年(令和1)6月に制定・施行された。視覚障害者等が自ら読める方式で作られた書籍の「買う自由」と「借りる権利」の保障を求めて、「国民読書年」だった2010年(平成22)ごろから法律制定を目ざす動きがあった。
法律の目的は、「障害の有無にかかわらず全(すべ)ての国民が等しく読書を通じて文字・活字文化の恵沢を享受することができる社会の実現に寄与すること」である。法律では、基本理念、国と地方公共団体の責務、基本的施策などを定めている。基本的施策には、視覚障害者等による図書館利用に係る体制の整備や、インターネットを利用したサービス提供体制の強化など、9項目が示された。また、これらをふまえた「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画」策定を国に義務づけ、地方公共団体にも計画策定を努力義務とした。
なお、法律でいう視覚障害者等とは、視覚障害者にとどまらず、発達障害や肢体不自由その他の障害により「視覚による表現の認識が困難な者」全般をさす。
[野口武悟 2020年8月20日]