発達障害(読み)ハッタツショウガイ(その他表記)developmental disabilities

デジタル大辞泉 「発達障害」の意味・読み・例文・類語

はったつ‐しょうがい〔‐シヤウガイ〕【発達障害】

子供発達途上において、生体機能一部が成熟しないでとどまっている状態広汎性発達障害学習障害注意欠陥多動性障害ADHD)・知的障害・発達性言語障害・発達性協調運動障害などがある。神経発達症

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共同通信ニュース用語解説 「発達障害」の解説

発達障害

対人コミュニケーションが苦手な「自閉スペクトラム症(ASD)」、衝動的な行動などがある「注意欠如多動症(ADHD)」、読み書きや計算が困難な「学習障害(LD)」などの総称。生まれつきの脳機能の障害とされる。言葉の遅れなど、親が子どもの発達に違和感を覚えたり、乳幼児健診で指摘されたりして判明することが多い。生きづらさを抱え、大人になってから診断されるケースも増えている。人によって障害の程度はさまざまで、一人一人の特性に応じた配慮や支援が重要となる。

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発達障害(神経発達症)

こだわりが強い自閉スペクトラム症(ASD)や忘れやすい傾向のある注意欠如多動症(ADHD)、限局性学習症(LD)などの総称。個人差はあるが、得意なことと不得意なことの差が大きく、学校や職場など集団生活で壁にぶつかる人も多い。神経回路神経伝達物質の調整機能の差が原因とみられ、神経発達症と呼ぶ専門家も増えてきた。研究の歴史は浅く、数年ごとに診断名や基準が見直されている。

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精選版 日本国語大辞典 「発達障害」の意味・読み・例文・類語

はったつ‐しょうがい‥シャウガイ【発達障害】

  1. 〘 名詞 〙 心身の機能の発達が、疾患・遺伝・環境などの原因で困難である状態。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「発達障害」の意味・わかりやすい解説

発達障害
はったつしょうがい
developmental disabilities
developmental disorders

発達期の脳機能不全に起因して発生する障害の総称。成人期になって発生する中途障害とは異なり、発達期に明らかとなる点が特徴である。相応の支援が必要であって、それは一生涯続く。

 発達障害は、なんらかの原因によって脳の発達に不都合が生じ、発達の停滞や偏りが出て、それが他者の介入を必要とするほどの周囲との摩擦の原因となるものである。ただし、これらの摩擦自体は発達障害が発生する直接の原因とはならない。発達障害のある人々の不適応の状態は、個人の発達的変化によって様相を変えていき、そこに環境要因が多大な影響を及ぼす。

 そもそも発達障害(developmental disabilities)とは知的障害を基盤にし、その拡張概念としてつくられた法律用語である。第35代アメリカ大統領のJ・F・ケネディは、当時は精神薄弱者といわれていた知的障害者への包括的な支援を目ざして特別委員会を設立し、支援策を諮問した。1963年、その答申に基づいた法案のなかにdevelopmental disabilitiesという用語が初めて登場する。当然、ここには知的障害も含まれるとするのが一般的な理解であったが、法的に位置づけられなければ支援は得られないため、「知的障害と同様の支援が必要」な状態として、さまざまな障害群がこの用語のなかに含まれると理解されることになった。発達障害の概念としてはもっとも広い考え方で、多くの研究者や臨床家の支持を得てきた。

 次に医学的な側面からみていくと、発達障害(developmental disorders)は、1987年から1993年まで使われていたアメリカ精神医学会の診断と分類のための基準(DSM)の第3版改訂版(DSM-Ⅲ-R)のなかで、精神遅滞(知的障害)、広汎(こうはん)性発達障害(自閉症とその近縁の発達障害)、特異的発達障害(発達性言語障害、学習障害、不器用児など)の上位概念として用いられていた。しかし、その後のDSM第4版(DSM-Ⅳ。1994)および解説部分のみの改訂のDSM第4版改訂版(DSM-Ⅳ-TR。2000)では、発達障害を構成していた診断名は残ったが、上位概念としての発達障害の記載はなくなった。

 2013年5月、DSM第5版(DSM-5)が発表された。そのなかに「神経発達症群」(neuro-developmental disorders)の章が創設され、そこに含まれる診断名として、①知的障害(旧精神遅滞)、②コミュニケーション障害(さまざまな言語障害を含む)、③自閉スペクトラム症(自閉症スペクトラム障害、旧広汎性発達障害)、④注意欠如多動症(ADHD。新たに加わる)、⑤特異的学習障害(LD)、⑥運動障害(発達性協調運動障害、チックなど)、⑦その他があげられている。なお、日本精神神経学会は、「障害」には否定的な語感があるとして、障害のかわりに「症」とするように提言している。

 一方、日本の発達障害者支援法(2004年成立、2016年改正)における発達障害の定義では知的発達に遅れのない広汎性発達障害などの障害をさし、この点が欧米の理解とは異なる。さらに、支援のあり方としては、精神障害と同様と規定した。日本での法律上の定義は包括的で広範囲な発達障害概念の一部を示しているにすぎず、同じ用語でも欧米とは示す範囲が違っていることに注意が必要である。

[原 仁 2025年9月17日]

『原仁責任編集『新版子どもの発達障害事典』(2019・合同出版)』『太田晴久監修『大人の発達障害――仕事・生活の困ったによりそう本』(2021・西東社)』『黒坂真由子著『発達障害大全――「脳の個性」について知りたいことすべて』(2023・日経BP)』『杉山登志郎著『子育てで一番大切なこと――愛着形成と発達障害』(講談社現代新書)』

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百科事典マイペディア 「発達障害」の意味・わかりやすい解説

発達障害【はったつしょうがい】

乳幼児期から幼児期にかけて現れることの多い心身の障害を意味する。代表的なものとして,知的障害,広汎性発達障害(自閉症),高機能広汎性発達障害(アスペルガー症候群・高機能自閉症),注意欠陥多動性障害(ADHD,多動症候群),学習障害などが知られる。いずれも脳機能の障害が原因とされ,先天的なものであったり,そうでない場合も低年齢時に生じたほかの疾患の後遺症によるものであったりする。愛情のかけ方,育て方など生育環境が原因となったものは含めない。発達障害をできるだけ早期に発見して発達支援することが特に重要であることから,都道府県レベルで支援センターを設置するなど地域単位で乳幼児期から成人期まで一貫して支援できる体制を整えることを目的とした発達障害者支援法が2005年4月から施行された。

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