発達障害(読み)はったつしょうがい(英語表記)developmental disorder

知恵蔵の解説

発達障害

2004年に成立した発達障害者支援法により、発達障害は、自閉症アスペルガー症候群学習障害(LD)注意欠陥多動性障害(ADHD)などに類する脳機能の障害で、その症状が通常低年齢で発現するものとして政令で定めるもの、と定義されている。同法の制定に伴い、それまで不十分だった発達支援サービス(特性に応じた医療・福祉・教育的援助)を受けられるようになった。従来発達障害児が支援サービスを利用するためには、療育手帳か便宜的に精神障害者手帳を取得する必要があり、取得が困難なことも少なくなかった。したがってこの法整備の意義は大きく、疾病の早期発見や療育のための社会体制の構築がようやく各地で始まったところである。 08年3月現在、発達障害児に対する対策として、制度化はされていないが、3歳児健診に次ぐ、5歳児健診が検討されている。また、就学児童への対応として特別支援教育が実施されている。

(中村敬 大正大学人間学部人間福祉学科教授 / 2008年)

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

発達障害

他人とのやりとりが苦手な自閉症などの「広汎(こうはん)性発達障害」、読み書きなど特定の事柄に困難を抱える「学習障害(LD)」、落ち着きがない「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」などの総称。生まれながらの脳の機能障害が原因とされる。文部科学省の2012年の調査では、全国の公立小中学校の通常学級に発達障害の可能性がある子どもが6.5%いると推計された。

(2018-01-20 朝日新聞 朝刊 子育て)

発達障害

生まれながらの脳の機能障害が原因とされる。興味や関心に偏りがあったり、対人関係などに困難があったりする「自閉スペクトラム症」や、落ち着きがない「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」、計算など特定分野が極端に苦手な「学習障害(LD)」などをいう。「自閉スペクトラム症」には、自閉症や広汎(こうはん)性発達障害、アスペルガー症候群などが含まれる。

(2018-03-12 朝日新聞 朝刊 神戸・1地方)

発達障害

生まれながらの脳の機能障害が原因とされ、人とのコミュニケーションが苦手な自閉症などの「広汎(こうはん)性発達障害」、気が散りやすく落ち着きがない「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」、読み書きや計算など特定領域に困難を抱える「学習障害(LD)」などがある。特性に合わせた様々な配慮や工夫をすることで、学校生活や社会に適応しやすくする。

(2018-03-24 朝日新聞 朝刊 教育1)

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百科事典マイペディアの解説

発達障害【はったつしょうがい】

乳幼児期から幼児期にかけて現れることの多い心身の障害を意味する。代表的なものとして,知的障害,広汎性発達障害(自閉症),高機能広汎性発達障害(アスペルガー症候群・高機能自閉症),注意欠陥多動性障害(ADHD,多動症候群),学習障害などが知られる。いずれも脳機能の障害が原因とされ,先天的なものであったり,そうでない場合も低年齢時に生じたほかの疾患の後遺症によるものであったりする。愛情のかけ方,育て方など生育環境が原因となったものは含めない。発達障害をできるだけ早期に発見して発達支援することが特に重要であることから,都道府県レベルで支援センターを設置するなど地域単位で乳幼児期から成人期まで一貫して支援できる体制を整えることを目的とした発達障害者支援法が2005年4月から施行された。

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大辞林 第三版の解説

はったつしょうがい【発達障害】

心理的機能の発達が滞った状態。知的障害・自閉症など。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

発達障害
はったつしょうがい
developmental disabilitiesdevelopmental disorders

発達期の脳機能不全に起因して発生する障害の総称。成人期になって発生する中途障害とは異なり、発達期に明らかとなる点がその特徴である。相応の支援が必要であって、それは一生涯続く。
 発達障害は、なんらかの原因によって脳の発達に不都合が生じ、発達の停滞や偏りが出る。それが他者の介入を必要とするほどの周囲との摩擦の原因となる。なお、これらの摩擦自体は発達障害が発生する直接の原因とはならない。発達障害のある人々の不適応の状態は、個人の発達的変化によって様相を変えていき、そこに環境要因は多大な影響を及ぼす。
 そもそも発達障害(developmental disabilities)とは知的障害を基盤にし、その拡張概念としてつくられた法律用語である。第35代アメリカ大統領のJ・F・ケネディは、当時は精神薄弱者といわれていた知的障害者への包括的な支援を目ざして特別委員会を設立し、支援策を諮問した。1963年、その答申に基づいた法案のなかにdevelopmental disabilitiesという用語が初めて登場する。当然、知的障害を含むとするのが一般的な理解であった。法的に位置づけられなければ支援は得られないため、「知的障害と同様の支援が必要」な状態として、さまざまな障害群が発達障害に含まれることになった。発達障害の概念としてはもっとも広い考え方で、多くの研究者や臨床家の支持が得られてきた。
 次に医学的な側面からみていくと、発達障害(developmental disorders)は、1987年から1993年まで使われていたアメリカ精神医学会の診断と分類のための基準(DSM)の第3版改定版(DSM--R)のなかで、精神遅滞(知的障害)、広汎(こうはん)性発達障害(自閉症とその近縁の発達障害)、特異的発達障害(発達性言語障害、学習障害、不器用児など)の上位概念として用いられていた。しかし、その後のDSM第4版(DSM-。1994)および解説部分のみの改訂のDSM第4版改訂版(DSM--TR。2000)では、発達障害を構成していた診断名は残ったが、上位概念としての発達障害の記載はなくなった。
 2013年5月、DSM第5版(DSM-5)が発表された。そのなかに「神経発達障害」(neuro-developmental disorders)の章が創設され、そこに含まれる診断名として、(1)知的障害(旧精神遅滞)、(2)コミュニケーション障害(さまざまな言語障害含む)、(3)自閉症スペクトラム障害(旧広汎性発達障害)、(4)注意欠陥多動性障害(ADHD。新たに加わる)、(5)特異的学習障害(LD)、(6)運動障害(発達性協調運動障害、チックなど)、(7)その他があげられている。
 一方、日本の発達障害者支援法(2004年成立)の定義では知的発達に遅れのない発達障害をさし、この点が欧米の理解とは異なる。さらに、支援のあり方としては、精神障害と同様と規定した。日本での法律上の定義は包括的で広範囲な発達障害概念の一部を示しているにすぎず、同じ用語でも示す範囲が違っていることに注意が必要である。[原 仁]
『杉山登志郎著『発達障害のいま』(講談社現代新書) ▽松為信雄著『発達障害の子どもと生きる』(幻冬舎ルネッサンス新書)』

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