責め伏せる（読み）せめふせる

精選版 日本国語大辞典

せめ‐ふ・せる【責伏】

1. 〘 他動詞 サ行下一段活用 〙
   [ 文語形 ]せめふ・す 〘 他動詞 サ行下二段活用 〙
2. ① 追及して屈伏させる。しいて承諾させる。説き伏せる。
   1. [初出の実例]「御堂事、庄々所課、大略領状、其中少々有_二所_レ渋之輩_一、重所_二責伏_一也」(出典：玉葉和歌集‐嘉応二年（1170）一一月五日)
   2. 「内大臣宗盛用ひざる也。せめふせられければ、なまじひに山科へむかひてけり」(出典：愚管抄（1220）五)
3. ② 拷問などにかけて質問に答えさせる。問いつめる。
   1. [初出の実例]「名乗れと責ふせ候つれ共、木曾殿は御覧じ知りたるらんとばかり申して」(出典：長門本平家（１３Ｃ前）一四)
4. ③ 酷使する。ひどく疲れさせる。
   1. [初出の実例]「御方(みかた)の御勢は七万余騎とは申せども、国々のかり武者どもなり。馬も人もせめふせて候」(出典：平家物語（１３Ｃ前）五)
5. ④ 楽器の演奏や舞踊などを、高い調子、強い調子、速い調子などで行なう。
   1. [初出の実例]「又問申云、自_二桜樹東程_一練初、頗向_二御所方_一、御所より見程よく猶責伏練之由申如何」(出典：玉葉和歌集‐仁安三年（1168）正月一六日)
   2. 「万秋楽はゆるるかに吹くべしと、人は皆知りけれども、真実はせめふせて吹くべきなり」(出典：古今著聞集（1254）六)

出典　精選版 日本国語大辞典