資本主義・社会主義・民主主義(読み)しほんしゅぎしゃかいしゅぎみんしゅしゅぎ(英語表記)Capitalism, Socialism, and Democracy

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

資本主義・社会主義・民主主義
しほんしゅぎしゃかいしゅぎみんしゅしゅぎ
Capitalism, Socialism, and Democracy

J・A・シュンペーター晩年の代表的な経済社会学的著作。1942年刊。「資本主義は生き延びうるか」という問いを提起し、その答えとして独特の資本主義崩壊論を提示したことで知られる。資本主義発展の原動力は新機軸innovationを導入する企業者機能にあるが、経済発展に伴い、この新機軸導入が日常化することで企業者機能の重要性が薄れ、さらに政府介入の増大による民間活力衰退などの要因も加わり、資本主義は輝かしい成功のゆえに崩壊するというのが、その中心命題である。

[佐藤経明]

『中山伊知郎・東畑精一訳『資本主義・社会主義・民主主義』新装版(1995・東洋経済新報社)』

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世界大百科事典(旧版)内の資本主義・社会主義・民主主義の言及

【シュンペーター】より

…しかし,こうした発展過程を資本主義の将来に投影するならば,大企業の出現,企業組織の官僚化,革新の組織化など,合理化一般の進展によって漸次経済の社会主義的管理の可能性が準備されるとともに,個人的企業者能力の無用化によるブルジョア階級の衰退が予見され,ついには資本主義文明は崩壊するであろう,と彼は考えた。《資本主義・社会主義・民主主義》(1942)において,こうした資本主義の総体過程の経済学的・社会学的分析をポピュラーな形で提示したが,本書は今日なお広く読まれている。晩年は《経済分析の歴史History of Economic Analysis》(1954)の大著に力を傾け,経済学説史における金字塔を打ち建てた。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」