マネタリズム(貨幣主義)思想がアメリカやイギリスなどにおいて政策理念として採用されるに伴い、行政による産業規制の緩和と行政機能の縮小、国営企業の民営化などによって、民間経営ノウハウの活用とその競争力発揮を促し、停滞した先進国経済を活性化しようとする傾向が強くなった。いわば、アダム・スミスのいう「小さな政府」化である。日本でもオイル・ショック(1973)後の財政危機と第二次臨時行政調査会(1981~83)を契機として、その必要が叫ばれるようになったが、これを一般に民間活力(略して民活)導入とよんでいる。
日本における民活は、およそ四つの分野をもっている。第一は、政府関係機関などの民営化である。日本専売公社、日本電信電話公社、日本国有鉄道の3公社および日本航空などがこの対象とされ、1985年(昭和60)から1987年にかけていずれも完全民営化に移行した。第二は、公有地とくに国有地の民間払下げ、民間活用である。しかしこれは、旧国鉄用地の払下げにもみられるように、地価急騰の一因となったとの批判もある。第三は、民活法(正式名称は「民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法」)の施行(1986)である。これは、民間企業の技術革新、情報化、国際化に対応した基盤整備に対して、補助金、税の減免、日本政策投資銀行(1999年10月、日本開発銀行と北海道東北開発公庫が併合)などの融資を供与するものである。さらに、公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力および技術的能力を活用して行う新しい手法であるPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブprivate finance initiative)も導入され、その活用を促進するために1999年7月にPFI法(正式名称は「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」)が制定された。第四は、地方公共団体レベルでの地方民活である。これは、民営委託の推進、土地信託制の導入、第三セクターによる事業促進などを内容とするものであり、この分野がもっとも活発といえよう。
[一杉哲也・羽田 亨]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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