資産インフレ(読み)しさんいんふれ(その他表記)stock inflation

知恵蔵 「資産インフレ」の解説

資産インフレ

地価株価貴金属などの資産価格が、上昇する状況を資産インフレという。投機により資産インフレが高進、適正価格から大きくかけ離れたときに生じるのがバブル(泡)であり、一般に「資産価格と適正価格との乖離(かいり)分」とされる。バブルは投機熱が収まると弾け、姿はもと(適正価格)に戻る。1985年のプラザ合意後の急激な円高の下で、金融は超緩和となり、これによる潤沢な資金はより有利な投資先を求め、土地や株に向けられた。結果、地価や株価は急騰し、85年初から89年末にかけて、それぞれ2.9倍(東京圏商業地の公示価格)、3.4倍(日経平均)となった。資産価格の急騰を反映し、資産格差(「資産を持てる者」と「持たざる者」の富の格差)も話題となった。当時の経済状況をバブル経済とも呼ぶ。地価高騰に対処すべく大蔵省(現・財務省)は90年3月に「土地関連融資の抑制」(銀行局長通達)を発出金融機関に土地融資関連の厳正化を要請した。通達では具体的に、(1)不動産向けの融資の伸び率を総貸出の伸び率以下に抑制する総量規制と、(2)不動産業、建設業、ノンバンクの3業種向け融資実績の報告を、金融機関に求めた。この総量規制実施には批判もあったが、バブル崩壊の引き金になったとする見解も多い。

(本庄真 大和総研監査役 / 2007年)

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「資産インフレ」の解説

資産インフレ

株式や土地の資産価格が長期的に上昇傾向になることを指す。バブル期には、金融機関が土地を担保に貸し出しを極端に増加させたため、地価を中心にした資産インフレが発生した。バブル崩壊後は極端な地価・株価の深刻な資産デフレが発生、長期的な景気低迷の原因になったとされている。近年は景気回復の影響もあって、徐々に資産価格も上昇しており、資産インフレ傾向にあると言える。通常言われるインフレは消費者物価指数を指標とした物価動向であり、株式や不動産は対象外となっている。

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