デジタル大辞泉
「通達」の意味・読み・例文・類語
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つう‐たつ【通達】
- 〘 名詞 〙 ( 古くは「つうだつ」 )
- ① とどこおりなく通ずること、通じさせること。隅々にまでゆきわたること、ゆきわたらせること。
- [初出の実例]「此波止まらん処一つの国と成りて、われ仏法を弘め通達すべき霊地たるべしとて」(出典:寛永版曾我物語(南北朝頃)六)
- 「事々物々微細緻密の極にまで通達する有様は斯の如しと雖ども」(出典:文明論之概略(1875)〈福沢諭吉〉五)
- [その他の文献]〔荘子‐則陽〕
- ② 物事の理を明らかに悟り知ること。深くその道に達すること。熟達。
- [初出の実例]「臣頃将レ製レ疏。思二其義理一。適未二通達一」(出典:聖徳太子伝暦(917頃か)上)
- 「天地人の三才に通達(ツウダツ)するを儒といふ」(出典:滑稽本・風来六部集(1780)放屁論後編)
- [その他の文献]〔礼記‐学記〕
- ③ 告げ知らせること。通知。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
- [初出の実例]「泉刕堺の天河屋儀平方へも通達(ツウダツ)し荷物の工面仕らん」(出典:浄瑠璃・仮名手本忠臣蔵(1748)九)
- [その他の文献]〔周礼‐地官・掌節〕
- ④ 行政官庁が所轄の諸機関や職員などに対してある指示事項を通知すること。また、その形式。通牒(つうちょう)。
- [初出の実例]「八雲町の交番へ通達終りました」(出典:魔都(1937‐38)〈久生十蘭〉二一)
通達の語誌
「日葡辞書」や「易林本節用集」にツウダツとあり、中世末期においては連濁してダと読まれていたことがわかる。これは明治中期まで続き、「改正増補和英語林集成」(一八八六)や「言海」(一八九一)でも濁音である。しかし明治時代に多く生じた連濁の消滅現象によって清音に替わり、「ことばの泉」(一八九八)ではツウタツとある。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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通達 (つうたつ)
上級行政機関が下級行政機関に対して命令する一形式で,文書によってなされる場合をさす。かつては達,示達と呼ばれ,また行政機関の用いる用語としては通牒と呼ばれることもある。国家行政組織法は,大臣等行政機関の長が通達を発しうることを明らかにしているが(14条2項),必ずしもこれらの者にかぎらず,階統的行政組織の上級機関であれば通達を発する権限を有する。上級機関が下級機関の活動を指揮監督するために発する命令を訓令というが,訓令は特別な形態をとることを必要とせず訓令が文書で発せられた場合は通達となる。通達は行政機関に対する命令であり,行政組織上一定の地位を与えられた職員に対する職務命令とは異なるが,通達が有効に発せられるための要件は職務命令と変わらない。行政機関は法律を実施するに際し,行政立法によりその内容を具体化し,その行動の基準を設定するが,さらに具体的執行にあたっては,法令の解釈や裁量基準を通達の形態で下級機関に示達することが少なくない。行政の対象が膨大・複雑になるにしたがってこの傾向は増大し,現実の行政活動は通達に従って行われ,いわゆる〈通達による行政〉〈通達行政〉という状態が生ずる。しかし通達は,下級行政機関のみを拘束するものであって,直接国民を拘束するものではなく,行政活動の通達への適合不適合は,その活動の適法性と直接関係がない。
執筆者:中西 又三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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普及版 字通
「通達」の読み・字形・画数・意味
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出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の通達の言及
【職務命令】より
…職務命令を発することのできる権限を職務命令権という。職務命令は組織上の地位を与えられている特定または不特定の職員に対する命令である点において組織またはその機関そのものに向けられた[訓令]や通達とは異なるが,訓令・通達は同時に職務命令の内容をなすことがある。職務命令が有効に発せられるためには,上級者が下級者の職務について指揮監督権を有し,その内容が下級者の職務に関するものであること,憲法および法令に抵触しないことが必要である。…
【通牒】より
…国内法上では,行政官庁が所管の諸機関や職員に対してなす一般的指揮処分の形式の一種。訓令と区別され,現在では通達と称する。【岡村 尭】。…
※「通達」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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