赤血球系細胞

内科学 第10版 「赤血球系細胞」の解説

赤血球系細胞(成熟血球の産生制御機構)

(1)赤血球系細胞
 赤血球系の前駆細胞である赤芽球バースト形成細胞(BFU-E)は赤芽球コロニー形成細胞(CFU-E)となり,CFU-Eにエリスロポエチン(erythropoietin:EPO)が作用し前赤芽球となる(図14-2-1).前赤芽球は形態的に赤血球系と認識できる最も幼若な血球であり,4日間に3〜5回分裂し8~32個の赤血球となる.未熟な赤芽球はRNAを多量に含むため好塩基性であるが,ヘモグロビンの合成とともに多染性から正染性赤芽球へと変化する.この間に赤芽球の直径は25 μmから9 μmに減少する.この過程では健常人でも約10%の赤芽球が破壊され無効造血とよばれる.その後,正染性赤芽球は脱核し網赤血球となり,網赤血球は約24時間後に成熟赤血球となる.健常人の赤血球寿命は約120日で,老化した赤血球は脾臓マクロファージに貪食される.赤血球造血における最も重要な造血因子EPOはおもに腎臓の尿細管周囲の間質細胞によって産生される.EPOの産生は貧血により腎組織が低酸素状態に陥ると酸素センサーが働き増加し,貧血が改善すると正常化する.[松村 到]
■文献
Abboud CN, Lichtman MA: Structure of the marrow and the hematopoietic microenvironment. In: Williams Hematology, 7th ed (Lichtman MA ed), pp35-72, McGraw-Hill, NY, 2006.
Dacie JV, Lewis SM: Practical Hematology, 7th ed, Churchill Livingstone, Edinburgh, 1991.
Kipps TJ: The lymphoid tissues. In: Williams Hematology, 7th ed (Lichtman MA ed), pp73-81, McGraw-Hill, NY, 2006.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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