趣き(読み)おもむき

精選版 日本国語大辞典 「趣き」の意味・読み・例文・類語

おも‐むき【趣・赴】

  1. 〘 名詞 〙 ( 五段活用動詞「おもむく(趣)」の連用形の名詞化 )
  2. ある方向へ向かって行くこと。おもぶき。
  3. 心の動き。心がある方向に動いてゆくこと。また、その方向。おもぶき。
    1. [初出の実例]「中の品になん、人の心心、おのがじしの立てたるおもむきも見えて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)
  4. 事柄の内容の大体の方向。また、事柄の大事な内容。意味。趣意。趣旨。おもぶき。
    1. [初出の実例]「その御屏風の歌所々の趣に随へり」(出典:歌仙本躬恒集(924頃))
    2. 「仏の教へ給ふおもむきは、事にふれて執心なかれとなり」(出典:方丈記(1212))
  5. 物事のなりゆき。様子。事情。おもぶき。
    1. [初出の実例]「ほのぼのかやうにきこえたはぶれ給ふ言の葉のおもむきに、ゆるびなき御なからひかなと聞きゐ給へり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)野分)
    2. 「合戦の趣きはからひ申せ」(出典:保元物語(1220頃か)上)
  6. 物事についての感興。情趣。風情。おもしろみ。あじわい。趣味。雅致。おもぶき。
    1. [初出の実例]「水のおもむき、山のおきてを改めて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)乙女)
  7. たい(鯛)」の異名。〔随筆・嘉良喜随筆(1750頃)〕

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