芸娼妓(しょうぎ)を年季中に代償を支払って落籍させること。一般に江戸時代の身売り的年季奉公人が身代(みのしろ)金の返済によって契約を解除することを身請けといった。芸娼妓の場合の身請け金は、身代金(前借金)以外の付加借金などが加算されたが、明確な算出基準があったわけではない。高級遊女の身請けには1000両以上を要したというが、身請け後に離縁する場合の生活保証を明記した身請け証文が伝えられている。保証人請け戻し(親元身請け・身抜け)の場合は身請け金や祝儀が少なくてすむため、客が身請けするのにこの形式をとることもあった。明治以後は、貸借元簿が根拠とされたが、この計算にも不明瞭(めいりょう)な点が多かったといわれる。
[原島陽一]