軌道電子捕獲(読み)キドウデンシホカク

デジタル大辞泉 「軌道電子捕獲」の意味・読み・例文・類語

きどうでんし‐ほかく〔キダウデンシホクワク〕【軌道電子捕獲】

電子捕獲1

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「軌道電子捕獲」の解説

軌道電子捕獲
キドウデンシホカク
orbital electron capture, electron capture

略号EC.原子核崩壊型式の一つ.β崩壊の一種.核内の陽子1個が核外の軌道電子1個を取り込んで中性子に変換されるので,原子番号が一つ減り,質量数は変化しない.その際,

p + e → n + ν

のようにニュートリノを放出する.核内の陽子数が多いために不安定な核種が崩壊する型式で,陽電子を放出する β 崩壊と競合して起こるが,エネルギー的に陽電子放出が起こりえないときには単独でも起こる.核にもっとも近いK軌道の電子を捕獲する場合が多く,このとき,K電子捕獲とよぶ.L軌道以上の軌道電子捕獲も起こりうる.捕獲の結果できた内殻の電子の穴を埋めるために,上の軌道から電子が落ちるときに起こるオージェ電子放出,またはX線放出を観測して軌道電子捕獲を確認することができる.湯川秀樹坂田昌一が1935年に予言し,1937年にカリフォルニア大学ローレンス・バークレー国立研究所のLuis W. Alvarezが実験的に確認した.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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