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電子捕獲 でんしほかくelectron capture

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

電子捕獲
でんしほかく
electron capture

(1) 原子核が原子の軌道電子を核内に吸収する現象。最も起りやすいのは核に最も近いK 軌道の電子を吸収する場合で,これをK 電子捕獲という。 1935年湯川秀樹坂田昌一によって予言された。電子捕獲は β+ 崩壊とある分岐比で共存することが多く,電子捕獲後の原子核は β+ 崩壊後の核と同じで,もとの核より原子番号が1だけ小さく,質量数の同じ核が生成する。電子捕獲は広い意味でβ崩壊の1種とみなされている。電子捕獲に伴って特性X 線またはオージェ電子 (→オージェ効果 ) が放出される。 (2) 一般に原子,分子などに電子が捕獲されることをいう。半導体中における電子捕獲は,素子の特性に強い影響を及ぼすため詳しく研究されている。

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デジタル大辞泉の解説

でんし‐ほかく〔‐ホクワク〕【電子捕獲】

原子核の放射性崩壊の一。核内の陽子が軌道電子を吸収して中性子となり、同時にニュートリノを放出する現象。β崩壊と同じく弱い相互作用によって生じる。1935年に湯川秀樹坂田昌一が提唱し、1937年にL=アルバレが発見した。軌道電子捕獲
電荷移動

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世界大百科事典 第2版の解説

でんしほかく【電子捕獲 electron capture】

原子核の放射性崩壊の一種で,原子核がK電子などの軌道電子を吸収し,よりエネルギー的に安定な核に変化する過程をいう。弱い相互作用による陽子pが電子eを吸収して中性子nに変わり,同時に中性微子νeが放出される過程(p+e―→n+νe)で,広い意味でのβ崩壊に含まれる。電子捕獲では質量数は変化せず,捕獲する電子の負電荷のため原子番号はZからZ-1となり,β崩壊したのと同じ結果になる。実際,β崩壊と共存していることが多いが,β崩壊がエネルギーのつり合いから不可能な場合(陽電子の放出には負のエネルギー状態にある電子を正のエネルギー状態へもち上げねばならないので,少なくとも電子質量の2倍に相当する崩壊エネルギーが必要である)には電子捕獲しか起こらない。

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世界大百科事典内の電子捕獲の言及

【原子核】より

… β崩壊は,電子(e)または陽電子(e)と中性微子(νee)を放出することによってZが1変化する過程(A,Z)→(A,Z+1)+ee,または(A,Z)→(A,Z-1)+e+νeで,おおまかには前に述べたβ安定線上にない原子核は上のどちらかの崩壊に対して不安定である。その変形として原子を構成している電子が原子核によって捕獲される電子捕獲過程e+(A,Z)→(A,Z-1)+νeも観測されている。β崩壊は元素の形成過程で重要な役割を果たしているほか,その崩壊率は関与する原子核の性質を強く反映しているので,核構造のたいせつな情報源となっている。…

【β崩壊】より

…電子を放出するβ崩壊ではZZ+1,また陽電子を放出するβ崩壊ではZZ-1となる。広い意味では陽電子が放出される代わりに軌道電子を吸収し中性微子を出す電子捕獲もβ崩壊に含める。歴史的には,β線の連続エネルギースペクトルを説明するために,W.パウリによって中性微子の存在の仮定が立てられたという事実がある。…

※「電子捕獲」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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