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陽電子 ようでんし positron

翻訳|positron

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

陽電子
ようでんし
positron

ポジトロンともいう。電子の反粒子で,電子と同じ質量,スピン,統計をもつが,電荷は逆符号で同じ大きさの正電荷+eをもつ。陽電子の存在は 1928年ディラックの電子論によって予想され,32年 C.D.アンダーソンによって宇宙線の霧箱写真のなかで発見された。

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デジタル大辞泉の解説

よう‐でんし〔ヤウ‐〕【陽電子】

電子と質量・スピンは同じで、正の電荷をもつ素粒子電子反粒子。物質中に入る電子と対になり消滅する。1932年にC=D=アンダーソン宇宙線中に発見。ポジトロン。⇔陰電子

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百科事典マイペディアの解説

陽電子【ようでんし】

ポジトロンとも。電子の反粒子。正の電気素量と,電子と同一の質量をもつ。人工放射性元素がβ(+/)崩壊(β崩壊)する際,核内の陽子が中性子にかわるとともに陽電子とニュートリノが放出される。
→関連項目反物質陽子

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素粒子事典の解説

陽電子

記号電荷質量スピンパリティ寿命分類
e++10.51 MeV 1/2無限大軽粒子
★記号★

電子の反粒子。ポジトロンともいう。高エネルギーの光子を物質に当てて作る。電子に出会うと,低エネルギーでは一種の分子状態(ポジトロニウム)形成し2個又は3個の光子にこわれるが,エネルギーが高いと一気に消滅して2個の光子になる。1932年,アンダーソン(米)により,宇宙線による反応のなかから発見された。

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世界大百科事典 第2版の解説

ようでんし【陽電子 positron】

ポジトロンともいう。電子の反粒子。電子と同じ質量をもち,電荷は逆符号で+eである。P.A.M.ディラックの電子論ではその存在が予想されていたが,1932年C.D.アンダーソンによって宇宙線の霧箱写真中で初めて発見され,これによってディラックの理論の大筋が承認されるようになった。高エネルギーの光子が物質中を通過するとき電子・陽電子の対がつくられる(電子対生成)。逆に陽電子は物質中の電子に衝突して消滅し,光子に転化するが,その際,陽電子と電子は静電気の引力により結合状態(ポジトロニウム)をつくる。

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大辞林 第三版の解説

ようでんし【陽電子】

電子の反粒子。記号 e+  正の電気素量をもち、スピン・質量は電子と全く同じで、電子と対生成、対消滅する。ポジトロン。 ↔ 陰電子

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

陽電子
ようでんし
positron

電子の反粒子。オーストリアシュレーディンガードイツハイゼンベルクによる量子力学の建設後、イギリスディラックは、スピン1/2の電子の従うべき相対論的波動方程式を探究していわゆるディラック方程式を発見した(1928)。この方程式は電子のもつ磁気モーメントを正しく導くなどの成功を収めた。しかしこの方程式には負のエネルギーの解が存在することも同時にわかった。負エネルギーの解を許すと、電子は光を放出していくらでも低いエネルギーの状態に遷移できるため、電子は不安定となる。この困難を回避するため、ディラックは、真空はすべての負エネルギー状態が電子により満たされている状態と考える仮説を設けた。電子は同一の状態に二つ以上入れないフェルミ‐ディラック統計に従うので、この仮説より電子は負エネルギー状態には遷移できなくなり安定となる。エネルギーを外から与えこの真空の負エネルギー状態の電子を正エネルギーの電子に遷移させれば、一つの電子と一つの負エネルギー状態の欠損が得られる。負エネルギー状態が満たされた状態が真空であるから、この欠損はそこに正の電荷をもった粒子(陽電子)が存在することに等しいとディラックは考えた。これをディラックの空孔仮説という。前記の過程は電子・陽電子の対(つい)生成、逆にたどれば対消滅となる。ディラックの予言した陽電子は、アメリカのC・D・アンダーソンにより宇宙線中に発見された(1932)。
 現在の場の量子論においては、正負エネルギーの解はそれぞれ電子をつくる演算子、陽電子を消す演算子と再解釈することにより、真空は無限個の電子で満たされているとの無理な仮定をせずに、矛盾のない理論がつくられている。そしてディラックの空孔仮説ではあいまいであった陽電子の質量も電子のそれに等しいことが導かれる。今日ディラックの空孔仮説の応用として、あるエネルギー準位以下がフェルミ粒子で満たされている状態から出発し、その状態からの励起やそれらの力学を考えることにより、半導体や原子核の理論で空孔仮説が有効に使われている。陽電子断層撮影の医学利用も始まっている。[益川敏英]

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世界大百科事典内の陽電子の言及

【アンダーソン】より

…カリフォルニア工科大学で学び,1930年にX線による気体からの光電子の放出の研究で学位を取得,33年同大学助教授,39年教授に就任した。R.A.ミリカンに師事し,ウィルソン霜箱を使っての宇宙線の研究に進み,1932年,P.A.M.ディラックが理論的に予言していた陽電子を発見した。翌年には,S.H.ネッダーマイヤーとともにγ線が電子と陽電子の対を創生すること(電子対生成)を検証,37年には,2人は湯川が予言したπ中間子であると考えられた粒子(現在のμ粒子)を宇宙線のウィルソン霜箱飛跡の中で発見した。…

【宇宙線】より

…二次宇宙線の成分は,π中間子,K中間子など,およびこれらが崩壊して転化するμ粒子,電子,γ線,中性微子などである。なお,少量ではあるが,宇宙から飛来する電子,陽電子,γ線,中性微子,反陽子などもあり,高エネルギーのものは宇宙線として扱われている。磁気単極子などは未確認である。…

【空孔理論】より

…こうして負エネルギー電子の海にできた空孔は,電子の陰電荷が欠けたので陽の電荷に見え,エネルギーも正で運動量は速度と平行に見えて,その質量は電子と同じである。つまりディラック理論は電子と電荷の符号だけが違う陽電子の存在を予言する。上に述べた光子による電子のたたき上げは,すなわちγ線により陰‐陽電子の1対がつくりだされることである(電子対生成,あるいは電子対創成という)。…

【素粒子】より

…このように物理学が対象とした万物が原子からなり,その原子がすべてこの3種類の小さな粒子(陽子,中性子,電子)でできているとすれば,これらの小さな粒子こそ,もっとも基本的なものであり,このためこれらの粒子は自然を構成する素元的な粒子という意味で〈素粒子〉と呼ばれるに至ったのである。第2次世界大戦前までに,この3種類の粒子のほかにも,光子(フォトン),中性微子(ニュートリノ),電子の反粒子である陽電子などが素粒子の仲間に加えられ,素粒子の種類も増えていったのであるが,素粒子の存在が明らかになったことでミクロの世界の探究は一段落し,素粒子がミクロの世界の主役となった。 第2次大戦後は宇宙線研究の進歩や加速器の発達もあって続々と新しい素粒子が発見され,現在ではその数は何百にも達している。…

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