朝日日本歴史人物事典 「速津媛」の解説
速津媛
碩田国速見邑の女首長。速見邑は『和名抄』に豊後国速見郡とあり,現在の大分県速見郡,別府市,杵築市付近。『日本書紀』景行天皇12年条によると,熊襲が反乱を起こしたため,景行天皇は征討に向かったが,各地の豪族の反撃にあう。碩田国速見邑に至ったとき,速津媛が天皇を迎えて土蜘蛛の情報をもたらし,天皇は勝利することができた。『豊後国風土記』はその結果豊後を速津媛国と呼んだが,のちの人が改めて速見郡としたとする地名起源説話を紹介している。九州には女首長の伝統があるが,速津媛の名は潮流によったもので,港湾管理に関係する巫女かと思われる。
(小林茂文)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報