改訂新版 世界大百科事典 「連立二次方程式」の意味・わかりやすい解説
連立二次方程式 (れんりつにじほうていしき)
simultaneous quadratic equation
連立代数方程式f1(x1,……,xn)=0,……,fr(x1,……,xn)=0はf1,……,frの次数がすべて二次以下で,少なくとも一つは二次のものがあるとき連立二次方程式と呼ぶ。n=2,r=2の場合を考えてみよう。
を解いてみると,(Ⅰ)からx1=-2x2-3となるが,これを(Ⅱ)に代入してx2についての二次方程式を得る。それを解いてx2=2,-1がでる。この値を(Ⅰ)に代入して,(x1,x2)=(-7,2),(-1,-1)という解を得る。この例のように一方の方程式が一次ならば,それを使って例えばx1をx2で表し,他方の方程式に代入してx2についての二次方程式を得る。これからx2が求まり,最初の方程式によりx1も求まる。
のように一方の二次式の部分が他方の二次式の部分の定数倍ならば,一方の定数倍から他方を引いて一次方程式を得る(上の例の場合(Ⅲ)-2×(Ⅳ))。したがって(1)の場合に帰着する。
のように,x1,x2に関して対称であるとき,u=x1+x2,v=x1x2で変数変換をすると容易に解ける場合がある。上の方程式は,
と書きかえられる。これは(1)と同じ方法で解けて,
となる。二次方程式の根と係数の関係からx1,x2はt2-ut+v=0,すなわち,
の2根である。ゆえに,
が解である。
のように,一つの方程式がx1,x2についての斉次二次式であると,(x1-3x2)(x1-x2)=0と因数分解されて,x1=3x2またはx1=x2となり,これも(1)に帰着する。その他の場合として,
を考えると,x1=3x22を(Ⅹ)に代入して9x24+9x22+2=0,この四次方程式は容易に解けて,となる。一般に2変数で二つの二次式の場合には,一方の方程式をx1について解いて,他方に代入すればx2について四次式を得る。四次式の解法はわかっており,原理的には必ず解けるわけである。3変数,三つの二次式だと八次式が現れ,代数的には解けないことが多い。
一般にf1(x1,……,xn),……,fr(x1,……,xn)のうちfrのみが二次式のとき,連立二次方程式,
は容易に解ける。最初のr-1個の連立一次方程式を解いて,例えば,
と書けたとする。この式をfr(x1,……,xn)に代入すればxr,……,xnについての二次方程式を得るが,そのうちどれか,例えばxrについての二次方程式とみて解けばxrが定まる。前の式からx1,……,xr-1も定まる。
執筆者:丸山 正樹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報