過ヨウ素酸塩(読み)カヨウソサンエン

化学辞典 第2版 「過ヨウ素酸塩」の解説

過ヨウ素酸塩
カヨウソサンエン
periodate

過ヨウ素酸塩:MIO4.従来,メタ過ヨウ素酸塩とよばれたものである.K塩はヨウ素酸カリウムKIO3と水酸化カリウムの混合水溶液に塩素を通じるか,KIO3の電解酸化でつくられる.安定な無色の正方晶系結晶で,正四面体型のIO4を含む.I-O1.80 Å.融点582 ℃.水に難溶.酸化性が強い.Na塩はNa3IO6硝酸蒸発濃縮してつくり,無水物のほかに三水和物も得られる.無水物は正方晶系結晶.300 ℃ で分解してNaIO3となる.KIO4,NaIO4は,いずれも酸性水溶液で酸化性が強く,過ヨウ素酸と同じく酸化剤として分析試薬や,有機合成などに利用されるほか,遷移金属錯体やヘテロポリ酸塩の合成にも用いられる.【】オルト過ヨウ素酸塩:M5IO6およびその水素塩M5-nHnIO6.従来,パラ過ヨウ素酸塩ともよばれた.Na5IO6は,ヨウ化ナトリウムNaIと酸化ナトリウムNa2Oとを酸素中で350 ℃ に加熱すると得られる.無色の結晶で800 ℃ まで分解しない.Naの水素塩の一種,オルト過ヨウ素酸二水素三ナトリウムNa3H2IO6は,NaIO3または I2 をNaOH水溶液中で Cl2 と反応させると得られるが,このほうがむしろ過ヨウ素酸のNa塩として多用されている.[IO6]5- は,その2個のO原子により二座配位子として作用し,遷移金属のキレートを形成する.これらのキレートでは,金属が異常に高い酸化数を示す場合がある.KNa3H3[Cu(IO6)2]・14H2OではCuは酸化数3で,Na7H4[Mn(IO6)3]・17H2OではMnは酸化数4である.このほかに正八面体のIO65-がいくつかのOを共有して結合した二量体の [I2O9]4-,[I2O10]6-,[I2O11]8-,三量体の [I3O14]7- などを含むイソポリ酸塩,ほかの金属オキソ酸とその酸素原子を共有した [IMo6O24]5-,[IW6O24]5- のようなヘテロポリ酸塩が知られている.【】メソ過ヨウ素酸塩:M3IO5,K3IO5は,Iに結合した5個のOが正方すい型に配置している.[別用語参照]過ヨウ素酸

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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