過越(読み)すぎこし

精選版 日本国語大辞典 「過越」の意味・読み・例文・類語

すぎ‐こし【過越】

〘名〙 ユダヤ人の三大祭の一つ。イスラエル人エジプトパロの圧政下にあったとき、神は一〇の災いをエジプト全土にくだしたが、その最後は国中の長男を殺すことであった。イスラエル人だけは羊の血を家の入口の二本の柱と鴨居(かもい)とに塗ることによって、その難をのがれたが、それを記念する祭。キリストの最後の晩餐原型となった。過越の節(いわい)。過越の祭。
旧約全書(1888)出埃及記「なんぢら斯之を食ふべし、即ち腰をひきからげ足に鞋を穿き手に杖をとりて急て之を食ふべし、是ヱホバの逾越節(スギコシ)なり」

すぎ‐こ・す【過越】

〘自サ五(四)〙
① (ある場所を)通り過ぎて来る。通過する。
浮世草子好色一代男(1682)三「北国の山々を過こし〈略〉坂田といふ所にはじめてつきぬ」
② (ある時を)経過して来る。
浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉三「夢のやうに過ぎこした昔へ心を引戻して」

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