道明寺(寺)(読み)どうみょうじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「道明寺(寺)」の意味・わかりやすい解説

道明寺(寺)
どうみょうじ

大阪府藤井寺市道明寺にある真言(しんごん)宗御室(おむろ)派の尼寺。蓮土山(れんどざん)と号する。本尊は十一面観音菩薩(かんのんぼさつ)。推古(すいこ)天皇の時代に土師連八島(はじのむらじやしま)(菅原道真(すがわらのみちざね)の祖)が私宅を寺とし、土師寺と称して土師氏の氏寺としたのが始まりといわれ、のち土師氏が菅原姓を賜ると菅原氏の氏寺となった。菅原道真の伯母である覚寿尼(かくじゅに)が当寺に在住したので、道真もしばしばこの寺を訪れたといわれる。道真没後、当寺境内に天満宮が祀(まつ)られ、道明寺と改称された。平安時代には大いに栄えたが、室町末期の兵火により堂塔を焼失し、天正(てんしょう)年間(1573~92)に再興された。のち明治維新には神仏分離により天満宮と分離。本堂に安置されている平安前期の十一面観音立像(国宝)、伝菅原道真作の十一面観音像、聖徳太子立像(ともに国重要文化財)など寺宝が多い。また代々尼僧のくふうによる道明寺糒(ほしいい)(乾飯)は有名。

[眞柴弘宗]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android