日本大百科全書(ニッポニカ) 「道明寺種」の意味・わかりやすい解説
道明寺種
どうみょうじだね
糯米(もちごめ)を蒸して乾燥した糒(ほしいい)を粗くひいたもの。道明寺とは大阪府藤井寺市にある寺の名前。昔この寺で、天満宮に供えた饌飯(せんはん)の下がりを信者に与えたところ、たいへん評判になったため、あらかじめ飯を乾燥貯蔵するようになったのが始まりとされ、道明寺でつくられた乾飯(ほしいい)ということから道明寺糒とよばれるようになった。道明寺糒の特徴は、純粋の糯米だけを使い、寒中の30日間に限ってつくり、10年以上たっても変質しないことである。しかし近年は、寺内でつくるのはごく少量で、ほとんどが近くの工場でつくられている。糒は水に浸すか湯をかけるだけでよく、昔は軍用、旅行の携帯食として用いられた。現在では糒を粗くひいたものを道明寺種、道明寺粉といい、ほとんどが桜餅(さくらもち)、みぞれかんなどの菓子材料として用いられている。揚げ物の衣に用いたものは道明寺揚げとよばれている。