遺老説伝(読み)いろうせつでん

日本歴史地名大系 「遺老説伝」の解説

遺老説伝
いろうせつでん

原本 琉球大学附属図書館伊波普猷文庫

解説 説話集。一七四五年鄭秉哲らによって編纂された「球陽」の外巻として編纂される。外巻三巻・附巻一巻の四巻。全部で一四一話。外巻三巻に琉球国内の説話一二八話を収め、附巻に日本(薩摩)と関連する説話を集めている。「遺老」とは経験を経た老人の意で、本編に収めるほどには信頼できない話をここにまとめている。恥覆い坂で木の枝をたむける話(四三話)、湯飲み(碗)の口を欠いて客にすすめる話(五二話)、百合若伝説(一三四話)など広く知られた説話が多く集められている。伊波普猷文庫は一巻欠。同文庫にこれに近い四冊本がある。

活字本 「球陽外巻 遺老説伝」(一九七八年、角川書店)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

関連語 角川書店 薩摩

世界大百科事典(旧版)内の遺老説伝の言及

【球陽】より

…琉球の歴史を記した史書。本巻(正巻22,付巻4)と外巻(正巻3,付巻1)からなり,外巻は《遺老説伝》の別称をもつ。1745年に編集を完了したが,その後史官の手で書きつぎがなされた。…

※「遺老説伝」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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