鄭京和(読み)ちょんきょんふぁ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「鄭京和」の意味・わかりやすい解説

鄭京和
ちょんきょんふぁ
(1948― )

韓国(大韓民国)の女流バイオリン奏者。ソウル生まれ。12歳でアメリカに渡り、ジュリアード音楽学校で名教師ガラミアンIvan Galamian(1903―81)に師事。1967年レーベントリット国際音楽コンクールで同門のズーカーマンとともに第1位となり、68年のニューヨーク、70年のロンドンでのデビューで成功を収め、以後国際的に活躍。71年(昭和46)初来日。作品に真正面から肉迫しようとするひたむきな情熱が、演奏に激しい緊張を生み、それが世界各地の聴衆をひきつけている。チェロ奏者の姉・鄭明和(チョンミョンファ)(1944― )およびピアノ奏者で指揮者の弟・鄭明勲(チョンミョンフン)(1953― )と組んだピアノ三重奏団でも活動。20世紀のアジアが生んだもっとも個性的なバイオリン奏者である。

[岩井宏之]

『中村稔著『ヴァイオリニストの系譜――ヨアヒムからクレーメルまで』(1988・音楽之友社)』『李元淑著、藤本敏和訳『世界がおまえたちの舞台だ』(1994・中央公論社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android