改訂新版 世界大百科事典 「酸化還元電極」の意味・わかりやすい解説
酸化還元電極 (さんかかんげんでんきょく)
oxidation-reduction electrode
redox electrode
溶液中に存在する一対の酸化体Oxと還元体Redとが,化学的に不活性な電極面で酸化還元反応
Ox+ne⁻⇄Red
(e⁻は電子,nは反応に関与する電子の数)を行うような電極系。この電極の平衡電極電位をとくに酸化還元電位という。Fe2⁺およびFe3⁺を含む水溶液中に白金や金のような不活性電極を挿入した系やキンヒドロン電極などが代表的な例である。これらの系の電極相は,単に電子を供給する容器としての役割を演じているだけで,電極相中の物質が電極反応に直接関与するものではない。したがって,白金や金などの貴金属のほかに炭素棒のような電子伝導体を電極に用いることもできるが,炭素棒などでは電極相の組成や表面状態によって電極反応の速度が影響をうける。
執筆者:玉虫 伶太
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報