日本大百科全書(ニッポニカ) 「重債務貧困国」の意味・わかりやすい解説
重債務貧困国
じゅうさいむひんこんこく
Heavily Indebted Poor Countries
返済可能性の低い多大な累積債務のため、貧困に苦しんでいる国のこと。略称HIPC。国際通貨基金(IMF)と世界銀行は、1993年時点の1人当り国民総生産(GNP)が695ドル以下、債務の合計額がGNPの80%以上をHIPCの基準としている。具体的にはボリビア、ガイアナ、モザンビーク、ウガンダ、ブルキナ・ファソ、コートジボワール、マリ、ギニア・ビサウ、エチオピア、モーリタニアなど39か国(2014年12月時点)。貧困の原因となる債務問題は人道上の問題であるとの認識に基づいて、IMFと世界銀行とが中心となって債務救済措置を講じている。1999年6月のケルン・サミット(先進国首脳会議)ではHIPC救済のための債務削減が検討され、最大700億ドルの債務削減が決定された(2014年12月時点で債務の削減対象は36か国)。また2005年7月のグレンイーグルズ・サミットでは、IMF、国際開発協会(IDA)、アフリカ開発基金(ADF)に対するHIPCの債務を全額免除すると決定している。
[長澤孝昭]