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累積債務 るいせきさいむ

大辞林 第三版の解説

るいせきさいむ【累積債務】

開発途上国が先進諸国から借り入れ累積した債務。返済困難に陥ることによって、国際的な金融不安が生じ、返済期間の延期(リスケジューリング)ほか、さまざまな問題が発生する。

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百科事典マイペディアの解説

累積債務【るいせきさいむ】

一国の経済からみて返済不能な水準まで累積された対外債務をさす。狭義には発展途上国が先進諸国の政府や金融機関から借入した債務が累積して巨額に達していること,広義には世界最大の対外債務国である米国も含む事態。
→関連項目エマージング・マーケットグローバリゼーション南北問題ラテン・アメリカ

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世界大百科事典 第2版の解説

るいせきさいむ【累積債務】

その国の返済能力からみて過大な水準にまで累積された一国の対外債務(外国からの借入残高)をいう。1970年代後半~80年代前半に,ポーランド,メキシコ,ブラジル等の対外債務が巨額に達し,返済に懸念が生じたことから,国際的な金融不安が起き,累積債務問題は世界的な問題となった。 対外借入れが必要なのは主として発展途上にある国であり,発展途上国の対外債務の総額は,IMF統計によると1983年末で7676億ドルに及んでいるが,1977年末には3293億ドルであったから6年間で2.3倍の増加である。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

累積債務
るいせきさいむ
debt accumulation

返済能力からみて過大な額にまで累積された一国の対外債務をいう。発展途上国は自国の経済開発のため先進諸国より開発資材を輸入する必要がある反面、工業化の遅れから有力な輸出品に乏しく、経常収支は恒常的に赤字を続けてきた。このため先進諸国から借款を受けてきたが、石油危機後このような対外債務は巨額に累積し、債務支払いの履行が国際金融上重大な問題となった。国際復興開発銀行(世界銀行)の統計によれば、発展途上国の公的債務残高は1967年末の506億ドルから1974年末の1514億ドル、1987年末には1兆1230億ドル、さらに1994年末には1兆7047億ドルにもふくれあがった。この債務には、(1)非産油後発途上国や最貧途上国が先進国から受けた援助などの公的債務累積と、(2)中進工業国が先進国の商業銀行から受けた商業債務累積があるが、1980年代に入ってからはとくに後者の比重が高まったことが問題であった。[土屋六郎・中條誠一]
 1982年に、メキシコがリスケジューリング(債務返済繰り延べ)を申請したことを皮切りに、中南米およびアフリカでそれぞれ十数か国が同様の交渉に入り、さらにフィリピンや東欧諸国へと拡大。1980年代は「失われた十年」とよばれ、累積債務問題が国際金融上の重大問題となった。
 それには、杜撰(ずさん)で性急な国内経済開発によって、借り入れが急増したこと、石油値上げによって、石油輸入代金支払いの負担が増加したこと、逆に一次産品主体の輸出が、世界不況によって停滞したこと、レーガノミックスの副作用で、ドル金利が高騰し、支払い金利負担が増加したことなど、種々の要因が作用したためである。とりわけ、膨大なオイル・ダラーがユーロ市場に流入したにもかかわらず、世界不況のなかで優良な貸先の乏しかった先進国商業銀行が、ソブリン・ローンとしてメキシコのような中進工業国を中心に、大量かつ安易な資金供与をしたことが大きな問題であった。その返済不能は、世界の金融システムを揺るがすことになったからである。
 これに対し、先進国商業銀行は、リスケジューリング、貸付債権の市場売却、貸倒引当金の積増しなどの対応を講じたが、これは問題の先延ばしにすぎず、根本的解決にはならなかった。そのため、アメリカ政府等先進国政府、IMFや世界銀行といった国際金融機関により、対応策が検討された。当初は、ベーカー提案(J・ベーカーはアメリカのレーガン政権の財務長官)のように、債務返済不能は一時的な流動性不足にあり、長期的には返済可能との前提(「流動性不足説」)に立っていたが、1989年のブレディ提案(N・ブレディはアメリカのG・W・ブッシュ政権の財務長官)では、「支払い不能説」に立って、債務削減を盛り込んだ対応策が提示された。
 債務国は、経済構造の改善のための経済調整政策と債務の株式化を推進すること、民間商業銀行は、債務削減、利払い軽減、新規融資に応じること、債権国は、追加的な資金支援を図ること、IMF等国際金融機関は、融資の一部を債務削減、利子軽減に充当することという内容であった。この提案に基づき、メキシコをはじめ、18か国で、1994年までに合計600億ドルの債務が削減され、1991年からは債務国への純資金流入もみられ、累積債務危機は一応の終息をみた。
 しかし、発展途上国全体の累積債務は、その後も増加傾向にあり、また商業ベースの短期債務の増加が、1990年代の相次ぐ通貨・金融危機発生をもたらしたことも事実であり、累積債務問題が完全に解消したわけではない。
 とくに、低所得国の対外債務は1990年で3326億ドルであったが、2004年には4269億ドルに達し、とくにサハラ以南のアフリカに多くみられる重債務貧困国では、主要輸出品の一次産品の価格低下、インフラや教育の未整備などから、債務削減が実現できずにいて、サミット(先進国首脳会議)でも、この問題がたびたび取り上げられた。また、国連による貧困撲滅を目ざした「ミレニアム開発目標」の一つとして、債務問題への取組み強化(債務の持続可能性)があげられている。たとえば1999年のサミットでは、最大700億ドル(対象国36か国)の債務削減措置が決定され、さらに2005年のサミットにおいては、アフリカなど18か国の国際機関向けの債務約400億ドルを全額免除することを発表した。このほか、「ジュビリー・デット・キャンペーン」などNGO(非政府組織)による債務帳消し運動が展開されている。[中條誠一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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