化学辞典 第2版 「重合禁止剤」の解説
重合禁止剤
ジュウゴウキンシザイ
polymerization inhibitor
重合防止剤,重合抑制剤ともいう.ラジカル重合系にある種の化合物を添加すると,重合開始剤あるいは単量体から生じたラジカル(遊離基)は,この添加物とすみやかに反応して,安定なラジカルまたは中性な化合物に変化し,その結果,重合反応が停止する.このような添加物を重合禁止剤とよぶ.重合禁止剤は構造上二つに分類される.
その一つは,トリス(p-ニトロフェニル)メチル(a),ビス(p-フルオロフェニル)アミニル(b)などのような,それ自身安定なラジカルで,もう一方は,重合系に存在するラジカルと容易に反応して安定なラジカルに変わるようなもので,ニトロ,ニトロソ,アミノおよびポリヒドロキシ化合物などがその代表である.一方,イオン重合の場合には,活性末端を不活性化するために,通常,活性末端に対して反応性の高い水,アルコール,酢酸,二酸化炭素,ヨウ素などを添加することにより重合反応を停止する.このような添加物をラジカル重合系と区別して,重合停止剤とよぶこともある.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報