ラジカル重合(読み)らじかるじゅうごう(英語表記)radical polymerization

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラジカル重合」の意味・わかりやすい解説

ラジカル重合
らじかるじゅうごう
radical polymerization

ラジカル(遊離基反応によって行う重合。高重合の一形式で、重合体成長末端はラジカルである。イオン重合に対する語で遊離基重合ともいう。工業的に生産されている多くのビニル重合体(ビニルポリマー)はこの重合法でつくられている。(1)開始反応、(2)成長反応、(3)停止反応の三つから成り立っている。開始反応の開始剤としては、ラジカル分解しやすい過酸化物アゾ化合物、ハイドロパーオキシドなどが用いられる。加熱または紫外線放射線照射単量体モノマー)をラジカル化させて開始させることもある。次の成長反応で重合体(ポリマー)の骨格ができあがり、ついでそれが安定化する。これを停止反応という。このほかに連鎖移動反応も副生する。

垣内 弘]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラジカル重合」の意味・わかりやすい解説

ラジカル重合
ラジカルじゅうごう
radical polymerization

ビニル重合体を生成する重要な反応であって,成長鎖がラジカル (遊離基) である付加重合をいう。多くのビニル化合物およびジエン化合物がラジカル重合により重合体を生成し,ビニル重合体は工業的にはほとんどラジカル重合により生産されている。ラジカル重合は連鎖反応であって,反応を始める開始反応,成長鎖に単量体が付加して重合体を生じる成長反応,反応が止る停止反応,成長鎖のラジカルが他の分子に移る移動反応の4つの反応 (素反応) から成っている。重合はラジカルを生じる開始剤,熱,光,放射線などによって行われるが,工業的には開始剤による場合が大部分である。

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