野球賭博問題(読み)やきゅうとばくもんだい

知恵蔵の解説

野球賭博問題

2015年10月5日に、プロ野球球団の読売ジャイアンツ(巨人)が、所属選手の中に野球賭博に関与した疑いのある者がいると発表したことに端を発した問題。日本プロ野球機構(NPB)の熊崎勝彦コミッショナーは、巨人所属の3選手を無期の失格、1選手を1年間の失格という処分を下した。
15年9月30日に読売ジャイアンツ球場において、巨人の投手・福田聡志のもとへ百数十万円の借金の取り立てに来た知人男性に球団職員が応対した。これを受けて巨人は福田本人に事情聴取を行い、全国高等学校野球選手権大会、プロ野球、メジャーリーグの試合で賭けを行ったことが判明。プロ野球の試合では巨人戦も含まれていたという。また福田は、賭博行為に関わった男性とは同じ巨人の投手である笠原将生の紹介で知り合ったと話した。これを受けて巨人は告発相当と判断し、10月5日にコミッショナーに告発すると発表した。10月21日にNPBの調査委員会(委員長・大鶴基成弁護士)は中間報告を行い、関係者のヒアリングや携帯電話の検査・解析などによって、福田と笠原に加えて、同じ巨人の投手・松本竜也が野球賭博を行っていたと明らかにした。
11月9日に巨人は記者会見を開き、福田・笠原・松本の3選手と契約を解除すると発表した。また3選手を含む10人以上がトランプや麻雀などに金銭を賭けていたことを明かし、読売巨人軍専務取締役球団代表である原沢敦の辞任もあわせて発表した。これを受けて、翌11月10日に熊崎コミッショナーは、3選手を野球賭博に関与したとして無期失格とし、巨人に制裁金1000万円を科す裁定を下した。
更に16年3月8日には、新たに投手の高木京介が野球賭博に関与していたことが判明。この事態を受けて巨人は3月11日に臨時株主総会及び臨時取締役会を実施し、渡辺恒雄最高顧問・白石興二郎オーナー・桃井恒和球団会長の引責辞任と、読売新聞グループ本社取締役最高顧問である老川祥一のオーナー就任、弁護士で元預金保険機構理事長である松田昇のオーナー代行就任を決定した。
3月22日に熊崎コミッショナーは、高木京介に対して1年間の失格処分を、巨人に対して制裁金500万円を科す裁定を下した。
無期失格処分となった3人に比べて高木京介が野球賭博に関わった期間は約10日ほどと短く、反社会的勢力との交際が認められなかったこと、調査委員会や巨人の事情聴取に真摯(しんし)に応じた姿勢などが考慮され、1年間の期限付き失格処分になったという。同日、巨人は高木京介に契約解除を行った。
また、この野球賭博問題を契機に行われた聴取の結果、公式戦の勝敗にからむ選手間の金銭の授受や、練習時におけるノックの際のミスに対する罰金といった金銭のやり取りを行っていた球団があったことなども発覚している。
野球賭博を始めとする違法賭博は、合法ギャンブルよりも倍率が高く、反社会的勢力の資金源となる可能性が高い。
日本では、刑法第185条によって、勝負に関して財物を賭けることが禁じられている(賭博罪)。
なお、競馬・競輪・競艇・オートレースなどの「公営ギャンブル」や自治体発売の宝くじ・スポーツ振興くじなどの「公営くじ」は、公の機関が開催し、収益金が公共事業などに使用されるもので、刑法第35条の正当行為に当たる。

(場野守泰 ライター/2016年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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