金之揮(読み)きんのさい

改訂新版 世界大百科事典 「金之揮」の意味・わかりやすい解説

金之揮 (きんのさい)

書名。役者評判記の一種。近藤清春著・画。1728年(享保13)1月,奥村源六刊。1巻1冊。数多い市川団十郎関係の出版物のうち,最初のもの。前文に初世,本文に2世の主演した狂言を上演順に記した絵入り年表で,江戸人の団十郎贔屓(びいき)がしのばれる。2世に関する記事は,多くの狂言本番付などに基づいて記されたものと思われ,ほぼ正確と認められるが,初世に関する記事は従来諸書に引用されているが,誤りが多く,信憑性が薄い。書名は,1633年(寛永10)江戸中村(猿若)座の開祖,初世勘三郎が拝領した〈金の麾〉にちなむという。なお,諸本には,前文のあるものとないものと2種がある。《珍書刊行会叢書》第4冊に複製を収録。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

関連語 宮本

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android