日本大百科全書(ニッポニカ) 「鉄眼仮名法語」の意味・わかりやすい解説
鉄眼仮名法語
てつげんかなほうご
江戸時代の仏書。一巻。大蔵経開版で著名な黄檗(おうばく)僧鉄眼道光の著。1691年(元禄4)に刊行されたもので、後記では、禅に志の深い一女性のために書き綴(つづ)られたものとする。内容は『般若心経(はんにゃしんぎょう)』の精神をわかりやすく説いたもので、色(しき)・受(じゅ)・想(そう)・行(ぎょう)・識(しき)の五蘊(うん)がみな空(くう)であることが徹見できれば、いっさいの苦患厄難から解放され、宇宙の本体である法身(ほっしん)般若の体にかなうことができる旨を、色・受・想・行・識の順に懇説している。
[船岡 誠]
『古田紹欽著『禅宗仮名法語』(『仏典講座40』所収・1971・大蔵出版)』