日本大百科全書(ニッポニカ) 「鉛浴」の意味・わかりやすい解説 鉛浴えんよくsalt bath 鉛を融解した槽。溶けた鉛は鉄と合金化せず、熱容量も大きく、沸点も高いので、鋼材を均熱するために用いられる。たとえば、鋼線材をいったん高温となる温度に加熱後、400℃くらいの鉛浴中に浸漬(しんせき)し、その温度に保つと、内部組織が微細化し、その線材の引抜き加工性が向上する。鉛浴を使うと酸化、脱炭などによる表面の侵食がないが、鉛の比重が大きいので、処理用の鋼材が浮上する欠点がある。また、鉛浴の表面は酸化しやすく、そのうえ、鉛の蒸気は有害なので、その表面に木炭粒などを散布する必要がある。[菊池 淳・三島良續] 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例