化学辞典 第2版 「鍛造性」の解説
鍛造性
タンゾウセイ
forgeability
可鍛性ともいう.金属材料の鍛造加工の難易を表す用語.金属・合金は鍛造加工を行うことが多く,それによって所要の形状・寸法に荒仕上げするだけでなく,強度・靭性を向上させ,気泡を圧着し,あるいは偏析を解消させて均質化するなど,その材質を改良するという点からも鍛造加工は重要な役割を有している.しかし,鍛造に際して変形抵抗が大きくて容易に変形しにくいもの,あるいは変形能に乏しく軽度の鍛造でも割れを生じやすいものなど,金属・合金の種類によって鍛造性はまちまちである.鍛造性は主として上記の変形抵抗と変形能の大小によって評価され,一般に変形抵抗が小さいほど,また変形能が大きいほど鍛造性はすぐれているといえる.鍛造性試験に統一された方法はとくにないが,円柱状の小試験片を所定の温度に加熱しておき,種々のエネルギーを与えたハンマーで軸方向に叩いて割れの有無を観察するとともに,試験片の変形量を測定し,エネルギー量と変形量との関係曲線を求めて比較する方法がしばしば用いられている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報