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偏析 へんせきsegregation

翻訳|segregation

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

偏析
へんせき
segregation

合金の凝固固体の内部で,溶質濃度が不均質になること。現象と原因により次のように分ける。 (1) 正常偏析 通常,合金の凝固時において最初に晶出する固体の成分は液体の成分と異なる。したがって,鋳型に接する部分から内部に向って凝固が進行すれば,その方向に平行な溶質濃度分布が形成される。これが正常偏析で,合金成分の種類,濃度,冷却速度などに依存し,一般に材質を劣化させる。鋼塊の硫黄の偏析 (→硫黄印刷 ) はよく知られた難物で,赤熱脆性の原因となる。 (2) 逆偏析 凝固固体の外周部が先に凝固する結果,柱状晶が冷却により収縮し,結晶粒間にすきまができると不純物濃度の高い内部溶体がそこに吸込まれ,結果的に内部より外辺のほうが不純物濃度が高くなることがある。これが逆偏析で,アルミ青銅青銅にしばしば起る。 (3) 重力偏析 液相の相互溶解度の低い場合は,比重の大きいほうの成分が底に多く沈んで凝固する。この重力偏析は青銅,鉛青銅,アルミ青銅など,高濃度の非鉄合金に多い。 (4) ミクロ偏析 1個の結晶粒の凝固を考えると,まず樹枝晶ができてその枝間を溶体が埋めつつ凝固が進行するが (→多結晶組織 ) ,通常,樹枝晶と枝間の溶体の濃度は異なるので,結果的に1結晶粒内でさえ顕微鏡的レベルで偏析が生じている。これをミクロ偏析,または粒内偏析ともいう。特に成分の融点の温度差の大きい固溶体合金に起りやすく,白銅 (→銅ニッケル合金 ) などにみられる。

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デジタル大辞泉の解説

へん‐せき【偏析】

金属や合金が凝固する際に、ある金属の組成が不均一になって分布に偏りが生じること。

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岩石学辞典の解説

偏析

一つの相から他の相が分離することで,物質中の不純物あるいは成分元素の分布が不均一になる現象[久保ほか : 1987,長倉ほか : 1998].凝離[久保ほか : 1987],分結[文部省編 : 1991].

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世界大百科事典 第2版の解説

へんせき【偏析 segregation】

複数の元素(A,B,C,……)から成る固体において,たとえばB元素が一様に分布していない状態にあるとき,B元素は偏析しているという。偏析の型は,平衡状態で生じる偏析と,平衡状態となっていないために生じる偏析の二つに大別できる。前者の一つは,溶質原子の一部が母相中の転位や結晶粒界などの欠陥部に凝集すると,それぞれ転位のひずみエネルギーや結晶粒界エネルギーなどが減少する場合に,安定に生じる偏析であり,とくに平衡偏析と呼ばれる。

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大辞林 第三版の解説

へんせき【偏析】

粉粒体が粒度・比重・組成などにかたよりを生じ不均一になること。
金属や合金が凝固する際、不純物や成分元素の濃度分布が不均一になる現象。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

偏析
へんせき
segregation

合金をつくるには、成分金属を液体状態で溶かし合わせてから凝固させる。この凝固の際に、最初に凝固した部分と、あとで凝固した部分では組成が異なるのが普通であり、その結果、合金の組成に不均一性が生じる。これを凝固偏析という。凝固偏析の程度は、合金の種類や凝固条件によってかなり異なる。大型の材料では、表面部と中心部とで、肉眼的にも判別できるほどの著しい偏析(マクロ偏析)が生じることがある。一方、材料中の個々の結晶を顕微鏡で観察すると、結晶の中心部と外周部との間に組成の相違(ミクロ偏析)が見られる。これらの凝固偏析は、適当な温度で長時間加熱して、原子の相互拡散によって軽減される。これを均質化焼きなましといい、健全な材料をつくるのに必要な処理である。
 なお、凝固偏析以外に、粒界平衡偏析(略して粒界偏析)という特殊な偏析が生じる。これは、結晶粒の境界に不純物原子が寄り集まる現象で、結晶粒の境界では原子が整然と配列していないためにおこるものである。この偏析は均質化焼きなましを行っても軽減されないで、逆に、不純物がさらに寄り集まることさえある。金属材料が結晶粒の境界から破壊するのは、粒界偏析が原因である場合が多い。[西沢泰二]

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