朝日日本歴史人物事典 「鎮源」の解説
鎮源
平安中期の天台宗の僧。『大日本国法華経験記』(『法華験記』)の選者。若いころに源信のとりまきのひとりとして霊山院にいたようで,寛弘4(1007)年7月3日の「霊山院釈迦堂毎日作法」のうしろの結縁者の歴名中に鎮源の名がみえる。延暦寺の首楞厳院に住し,長久4(1043)年ごろに『法華験記』を書く。本書は『三宝絵詞』『日本往生極楽記』などを参考にしているが,霊山,神社に関する話を多く載せ,輪廻転生思想を強調しながら,法華経持経者の法験の素晴らしさを説いている。ここに著者の宗教思想がうかがえる。<参考文献>井上光貞「文献解題―成立と特色―」(日本思想大系7「往生伝法華験記」解題)
(三橋正)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報