鏡映文字(読み)きょうえいもじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「鏡映文字」の意味・わかりやすい解説

鏡映文字
きょうえいもじ

3~4歳から小学校低学年までの児童の書く、左右が逆になる文字。鏡に映した形になるので鏡書き、鏡文字ともいう。文字を書き始める時期の付き物といってもよく、また無理に矯正しても直らないので自然に任せるよりしかたのない問題とされてきた。しかし、子供が初めに直面する事物世界の認識には全体としての形がもっとも重要な鍵(かぎ)となり、位置や方向にはあまり大きな意味はない。このようなパターン認識能力が当初優勢に発達するため、たとえば絵本を天地逆に見るといったことがよく見受けられる。鏡映文字も、普通はこれと同様な一過性現象であると考えられる。しかし、言語遅滞の症状をもつ子供では、成長後も鏡映文字が残存する例がある。

[藤永 保]

『高野清純著『子育てライセンス』(1990・日本文化科学社)』▽『田中敏隆著『子供の認知はどう発達するのか』(2002・金子書房)』

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