子供(読み)コドモ

デジタル大辞泉 「子供」の意味・読み・例文・類語

こ‐ども【子供】

《「ども」は接尾語で、本来は複数であるが、今では多く単数に用いる》
年のいかない幼い者。児童。小児わらべ。わらんべ。また、多くの子。子ら。「幼稚園の子供」⇔大人
親がもうけた子。むすこやむすめ。「子供の教育費」
動物などの子、また、その幼いほう。「パンダ子供が生まれた」
行動などが幼く、思慮が足りない者。「からだは一人前だが、考えることは子供だ」⇔大人
目下の若い人々に親しく呼びかける語。
「いざ―早くやまとへ大伴の三津の浜松待ち恋ひぬらむ」〈・六三〉
江戸吉原遊女が小間使いにした幼女かぶろ
近世、男色を売った年少の歌舞伎役者陰間かげま。子供衆。
江戸深川や京坂の遊里で、抱えの遊女をいった語。
「―は揃うて居るなり、女共も能くいたします」〈洒・辰巳之園
[類語](1小児しょうに児童学童小人しょうにんわらべ・わらんべわらわ童子どうじ幼子おさなご幼童ちびっこわっぱこわっぱ小僧餓鬼がき少年未成年若輩若造青二才・年少者・ティーンエージャーティーンローティーンハイティーン思春期十代/(2子女しじょ児女子弟愛児子息息男そくなん息女息子むすこせがれ子種子宝二世(相手、他人の子供の敬称お子さま令息令嬢お坊っちゃんお嬢さんお嬢さま/(4青二才豎子じゅし小僧こぞっ子はな垂らし世間知らずひよこねんね

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「子供」の意味・読み・例文・類語

こ‐ども【子供】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「ども」は接尾語 )
  2. ( 親に対して ) 子。自分の子、人の子に限らず用いる。
    1. [初出の実例]「天皇吾が婦を幸して遂に児息(コトモ)を有(たも)つと」(出典:日本書紀(720)雄略七年是歳(前田本訓))
    2. 「あからさまにきたるこども・わらはべを、見入れらうたがりて」(出典:枕草子(10C終)二八)
  3. 皆の者。若い人々。親しみをこめて呼びかける語。
    1. [初出の実例]「いざ古杼母(コドモ) 野蒜(のびる)摘みに 蒜摘みに 我が行く道の」(出典:古事記(712)中・歌謡)
  4. ( 大人に対して ) 児童。小児。わらべ。
    1. [初出の実例]「稲瀬河のはたにはま砂にたはぶれて、子どもあまたあそびけるにあふて」(出典:義経記(室町中か)六)
  5. 近世、男色を売った年少の歌舞伎俳優。かげま。
    1. [初出の実例]「切々無心いはるる若衆持て居ると子ども買てあそぶ座敷へ水神鳴の落ると」(出典:浮世草子・男色大鑑(1687)一)
  6. 近世の遊郭で、遊女に仕えた禿(かぶろ)使い走りの少女。
    1. [初出の実例]「此中の丁字屋のみな様の所へいかんしたを、子供らが見付ンしたはナ」(出典:浄瑠璃神霊矢口渡(1770)一)
  7. 江戸時代、特に江戸深川の岡場所で、その遊女をいう。
    1. [初出の実例]「子共やあなどとらうかを呼びあるき」(出典:雑俳・柳多留‐四(1769))
    2. 「イエ、子供(コドモ)といふは女郎衆の事でござりますが」(出典:歌舞伎・蝶々孖梅菊(1828)序幕)
  8. 若い従者をその主人が呼ぶ語。また、商家丁稚(でっち)
    1. [初出の実例]「やれやれ雨が降るそふな、子(コ)ども苫をふけ、といひもあへず」(出典:御伽草子・猿源氏草紙(室町末))
  9. 言動などが、まだ幼稚な感じである人。
    1. [初出の実例]「またお長がことか、こまったもんだ。ありゃアわけはねへ、子どもだアな」(出典:人情本・春色恵の花(1836)二)
    2. 「私達を見つけた喜びで真裸のまま日の光の中に飛出し、爪先きで背一ぱいに伸び上る程に子供なんだ」(出典:伊豆の踊子(1926)〈川端康成〉三)

子供の語誌

( 1 )元来は「子」の複数を表わす語だが、複数を表わすところから若年層の人々全般を指す用法を生じ、それが単数を表わす意味変化の契機となった。
( 2 )院政末期には「こども達」という語形が見出され、中世、近世には「こども衆」という語を生じるなど、「大人に対する小児」の用法がいちだんと一般化し、同時に単数を表わすと思われる例が増える。
( 3 )漢字表記を当てる場合、基本的には上代から室町末期まで「子等」であるが、院政期頃より「子共」を用いることも多くなる。近世に入り、「子供」の表記を生じた。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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