日本大百科全書(ニッポニカ) 「開元録」の意味・わかりやすい解説
開元録
かいげんろく
中国、唐代につくられた翻訳仏典の総合目録。20巻。正しくは『開元釈教録(しゃくきょうろく)』という。著者は智昇(ちしょう)で、唐の開元18年(730)に完成したのでこの名がある。中国に仏典が伝えられ漢訳されると、その翻訳事情を詳しく記した目録が、東晋(とうしん)代以後いくつもつくられた。とくに隋(ずい)や唐時代になると、目録の規模も大きくなり、その形式も整えられた。『開元録』はそれらの目録のなかでもっとも優れた代表的目録であり、中国のみならず東アジアの漢訳仏教圏に大きな影響を与えた。20巻のうち、初めの10巻は時代別・訳者別の目録であり、あとの10巻は分類整理目録である。大蔵(だいぞう)経が5000余巻あるとされるのは、『開元録』の入蔵録に1076部5048巻と記載されていることに基づく。
[岡部和雄]