大蔵(読み)オオクラ

デジタル大辞泉 「大蔵」の意味・読み・例文・類語

おお‐くら〔おほ‐〕【大蔵】

大蔵省」の略。
上代の三蔵の一。雄略天皇のときの創建と伝えられ、諸国からの貢ぎ物などを納めた蔵。

おおくら【大蔵】[姓氏]

姓氏の一。
[補説]「大蔵」姓の人物
大蔵虎明おおくらとらあきら
大蔵永常おおくらながつね

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精選版 日本国語大辞典 「大蔵」の意味・読み・例文・類語

おお‐くらおほ‥【大蔵】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 斎蔵(いみくら)、内蔵(うちくら)とともに上代の三蔵の一つ。雄略天皇の代に創建され、諸国の貢物を収めたと伝承される。実際の成立はこれより新しい。
    1. [初出の実例]「更に大蔵を立て、蘇我麻智宿禰をして三蔵〈斎蔵内蔵大蔵〉を検校(かむがへただ)さ令めて」(出典:古語拾遺(807))
  3. おおくらしょう(大蔵省)
    1. [初出の実例]「次に直広参、大伴宿禰安麻呂、大蔵(オホクラ)の事を誄(しのびことたてまつ)る」(出典:日本書紀(720)朱鳥元年九月(北野本訓))
  4. おおくらしょう(大蔵省)
    1. [初出の実例]「内閣総理大臣及宮内外務内務大蔵陸軍海軍司法文部農商務逓信の諸大臣を置」(出典:団団珍聞‐五二五号(1886))
  5. 令制の大蔵省に属する倉庫。〔九暦‐九暦記・天慶七年(944)一〇月九日〕
  6. 大きな蔵。
    1. [初出の実例]「たてそめてまだ物つまぬおほくらはもとの修理にもまさらざりけり」(出典:古今著聞集(1254)一六)
  7. おおくらりゅう(大蔵流)

たい‐ぞう‥ザウ【大蔵】

  1. 〘 名詞 〙 たいそうらしく振舞う男。やぼな遊客。また、とんま、愚かな者をいう。
    1. [初出の実例]「生得大ぞふの事なれば、イヤかたはら疼(いたい)事だらけ」(出典:洒落本傾城買指南所(1778))

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大蔵」の意味・わかりやすい解説

大蔵(村)
おおくら

山形県中北部、最上郡(もがみぐん)にある村。月山(がっさん)、葉山(はやま)両山地の東部から北部を占める豪雪地で知られる純農山村。銅山川が北流し、村の北部で最上川と合流する。国道458号が南北に走り、JR新庄(しんじょう)駅からバスが通じる。中心地の清水(しみず)は、中世に清水大蔵大輔(おおくらだゆう)義親の小城下町で、最上川舟運の中継権を与えられて栄えていたが、大石田にその地位を奪われた。トマトなどの園芸畜産と米作の複合経営が行われる。磐梯(ばんだい)朝日国立公園の一部で、国民保健温泉地に指定された肘折温泉郷(ひじおりおんせんきょう)や、湯の台スキー場がある。面積211.63平方キロメートル(境界一部未定)、人口3028(2020)。

中川 重]

『『大蔵村史』(1974・大蔵村)』『『大蔵村史』全3巻(1999~2002・大蔵村)』



大蔵
おおくら

大和(やまと)朝廷の「三蔵(みつのくら)」の一つ。官物を納めた蔵。『古語拾遺(こごしゅうい)』によれば、雄略(ゆうりゃく)朝に至り従来の斎蔵(いみくら)、内蔵(うちくら)のほかにさらに大蔵を建て、東西文(やまとかわちのふみ)氏、秦(はた)・漢(あや)2氏をして管理させるとともに、これらの三蔵を蘇我満智(そがのまち)に検校(けんぎょう)させたという。

[黛 弘道]

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改訂新版 世界大百科事典 「大蔵」の意味・わかりやすい解説

大蔵[村] (おおくら)

山形県中央部,最上郡の村。人口3762(2010)。最上地方の南東端に位置する。南西に月山,南東に葉山があり,銅山川,赤松川が北流して,村の北部で最上川に合流する。村域の大部分山林原野が占める。中心集落の清水は,1476年(文明8)に最上氏の一族清水氏が築いた中世の城下町で,近世は最上川の河港として栄えた。慶長期(1596-1615)に永松銅山,明和期(1764-72)に大蔵鉱山が開かれて新庄藩の財政を支え,明治期にはさらに発展したが,1960年前後に閉山した。近年は弱電,縫製関係の企業が誘致された。銅山川中流に肘折温泉がある。
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百科事典マイペディア 「大蔵」の意味・わかりやすい解説

大蔵[村]【おおくら】

山形県北部,最上郡の村。村は南北に長く,銅山川と赤松川がそれぞれ北流しており,村の北部を流れる最上川に合流している。日本でも有数豪雪地帯として知られ,南北に走る国道458号も寒河江市との境にある南部の十部一峠前後が冬季閉鎖となる。最上川流域以外は大半を山林が占め,南東部に葉山,南西部には月山(がっさん)があり,麓の肘折(ひじおり)は月山の登山口の一つとなっている。また肘折はこけしの産地でもあり,良質な温泉の湧くことでも有名で,湯治場の雰囲気を色濃く残す温泉街で毎朝行われる朝市がよく知られている。211.63km2。3762人(2010)。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「大蔵」の解説

大蔵
おおくら

律令官制成立以前からあった財政官司。地方の在地首長からの貢納物を収納した。「古語拾遺」「新撰姓氏録」などには,雄略朝に秦(はた)氏が調を奉ったのち,地方からの貢納物があふれたため,以前からあった斎蔵(いみくら)・内蔵(うちつくら)に加えて大蔵をたて,これらを蘇我麻智(まち)が管理し,秦氏が出納を行い,東文(やまとのふみ)氏・西文(かわちのふみ)氏が帳簿に記録したとある。大蔵と内蔵の分立は6世紀のことと考えられ,渡来系氏族の氏の名に大蔵・内蔵を冠するものがあること,令制大蔵省・内蔵(くら)寮の下級官人に渡来系氏族が多いことなどから,これらの官司が渡来系氏族の技能に支えられて早くから整備されていたことは事実であろう。のちに大蔵は天武朝の六官の一つとなり,令制大蔵省につながった。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大蔵」の意味・わかりやすい解説

大蔵
おおくら

大和朝廷の官物を収蔵する倉庫,役所。令制の大蔵省の前身。『古語拾遺』『新撰姓氏録』の所伝では,雄略朝に創建され,ここに三蔵 (斎蔵内蔵,大蔵) が分立する。その管理,出納,記録は,蘇我氏と帰化系の秦,文両氏が担当した。

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旺文社日本史事典 三訂版 「大蔵」の解説

大蔵
おおくら

大和政権の財物を収納した三蔵 (みつくら) の一つ
主に地方からの貢納物をおさめた。

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世界大百科事典(旧版)内の大蔵の言及

【三蔵】より

…大和朝廷の財政をつかさどった官司またはクラとしての斎蔵(いみくら)・内蔵・大蔵の総称。《古語拾遺》によると,神武朝宮中に神物・官物を納める斎蔵を建て,斎(忌)部氏がこれを管掌し,履中朝,朝鮮三国からの貢納物がふえると斎蔵の近くに内蔵を設けて神物と官物を分収し,東漢(やまとのあや)氏の祖阿知使主(あちのおみ)と西文(かわちのあや)氏の祖王仁(わに)に出納を記録させ,また蔵部を定め,さらに雄略朝,諸国の貢調が増大すると大蔵を建て,蘇我麻智に三蔵を検校せしめ,秦氏を出納,東西文氏を記録にあたらせ,漢氏に内蔵・大蔵の姓を賜ったという。…

※「大蔵」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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