日本大百科全書(ニッポニカ) 「防炎材料」の意味・わかりやすい解説
防炎材料
ぼうえんざいりょう
木材、繊維製品、紙などの可燃物に炎で着火後、炎を遠ざけたとき、自燃し続けたり余燼(よじん)が伝播(でんぱ)し続けないようにするための処理加工材料。繊維を対象とする場合の加工剤は、耐洗濯性の面から一時的処理剤と耐久性処理剤に分けられ、前者の例としては第二リン酸アンモニウム、スルファミン酸アンモニウムなどのアンモニウム塩、リン酸塩、ホウ酸塩、タングステン酸塩などの無機化合物があげられる。一方耐久型のものとしては、水不溶性の水酸化物を生じる塩化チタン(Ⅳ)TiCl4、塩化アンチモン(Ⅴ)SbCl5などの金属塩化物のほか、セルロースのヒドロキシ基と化学的な結合を生じさせる基をもつ含リン、含ハロゲン化合物、たとえば塩化テトラヒドロキシホスホニウム(THPC)、ホスホニトリル誘導体(ジクロロホスホニトリル、ジアミノホスホニトリルなど)、トリスアジリジニルホスフィンオキシド(APO)などが知られており、加熱処理によって防炎性が与えられる。
[岡原光男]