院事(読み)いんじ

精選版 日本国語大辞典 「院事」の意味・読み・例文・類語

いん‐じヰン‥【院事】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 院中の諸雑事。
    1. [初出の実例]「太上皇甚親任、以安仁院別当。事無大小、委決於安仁、先是、院事擁滞、男女多愁、安仁旬日之間、平理弁行」(出典:日本三代実録‐貞観元年(859)四月二三日)
  3. 院政期以降、上皇法皇の用のために諸国荘園公領に課する臨時税。勅事と併称されることが多い。
    1. [初出の実例]「自今以後、如此院事勅事、一切不二レ宛催之状、如件」(出典:東寺百合文書‐せ・久安六年(1150)一一月二二日・伊予国弓削荘住人等解)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の院事の言及

【公事】より

…それは国衙の公事に似て,年貢の運上のための人夫役や権門寺社の館や堂舎の警固役であり,朝廷の公事に似て,権門寺社の年中行事の諸費用の課役であった。そうした権門寺社の公事のなかで,院政時代以後に国政を支配した院の公事は,諸国に課されたが,これは〈院事〉 〈院役〉と呼ばれ,勅事と並んで重視された。鎌倉時代になると,鎌倉幕府は公事の費用を諸国の御家人に課したが,これは関東公事(くうじ)と呼ばれ,大番役とともに重要な課役であった。…

※「院事」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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