隠修士(読み)いんしゅうし(その他表記)eremita[ラテン]

改訂新版 世界大百科事典 「隠修士」の意味・わかりやすい解説

隠修士 (いんしゅうし)
eremita[ラテン]

神との一致と完徳を求める孤独生活の修道士。独住修士anachoretaともいう。キリスト教においてその起源は3世紀初めエジプト,パレスティナ,シリアの荒野砂漠に現れ,その例はアントニウスに見られる。キリスト教修道生活は隠修様式から家族様式へと発展したが,11世紀にはウァロムブロサ,カマルドリ,カルトゥジア,13世紀にはアウグスティヌス,ケレスティヌスなどの隠修士会が成立し,教会刷新を担った。近代の有名な隠修士にはサハラ砂漠の隠者フーコーCharles Eugène de Foucauld(1858-1916)がいる。
修道院
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

関連語 宣明 鈴木

世界大百科事典(旧版)内の隠修士の言及

【隠者】より

…ヨーロッパ語としては,ギリシア語erēmitēsに由来するが,それは〈砂漠に住む者〉を意味する。初期のキリスト教では,3世紀にエジプトやパレスティナで,孤独に砂漠のなかで修行を行うもの(隠修士)が現れたことに始まる。彼らは,過酷な自然条件のなかで,わずかな食料,衣服をもって,他人からはなれて改悛と求道の瞑想を行い,生命の極限にいたるまでの禁欲苦行にはげんだ。…

※「隠修士」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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