精選版 日本国語大辞典 「隠題」の意味・読み・例文・類語
かくし‐だい【隠題】
- 〘 名詞 〙 題詠の一種。和歌、連歌、俳諧で、内容に関係なく、題とされた事物の名を直接表面に表わさないでよみこむもの。たとえば「きりぎりす」という題を、「秋は霧霧過ぎぬれば雪降りてはるるまもなきみやまべの里(千載集‐物名)」で、「きり(霧)きり(霧)す(過)」とよみこむ類。物名(もののな・ぶつめい)。詠込(よみこみ)。立ち入り。
隠題の語誌
平安時代に特に盛んで、「古今集」「拾遺集」「千載集」には部立の一つとして「物名」があり、一般にもこの技巧を「物名」といったが、挙例の「奥義抄‐上」にあるように、詠み方をより明確に表わす呼称として「隠題」という語が用いられるようになったと思われる。